アイヌの絵葉書

1920年代頃、個人蔵

 昨年、沖縄の東村・高江の米軍北部訓練場のヘリパッド建設現場付近で、大阪府警の機動隊員が基地建設に抗議する市民に対して「土人」という言葉を発した出来事は、記憶に新しいだろう。沖縄と北海道は、日本が近代国家として船出し国境を確定していく過程で「皇国の南門」、「皇国の北門」と位置付けられ、その後も内地と外地のどちらでもないような曖昧さを割り振られてきた場所だ。沖縄での「土人」発言の背景にあるのは、そうした歴史の過程で形成されてきた内地人の卑小な自意識のようにも思える。

 アイヌの保護を名目とした北海道旧土人保護法が撤廃されたのは、明治新政府が蝦夷地を北海道と改称して100年以上が経過した1997年になってからだった。「旧土人」とは、1871年の戸籍法で「平民」に編入したアイヌの呼称を1878年になって「旧土人」と改称した官製差別用語だ。長きにわたりアイヌは、和人によって「土人」、「旧土人」、「アイノ」などさまざまな言葉で呼ばれ、被写体となり、時に展示の対象となってきた。

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2024.4.30 UP DATE

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