東松照明と中平卓馬の沖縄(中)

「中平卓馬 奄美諸島、1975年」より

 沖縄の本土「復帰」後、東松照明は沖縄に移住して離島や東南アジアを含めた広範囲を精力的に撮影し、1975年に写真集『太陽の鉛筆──沖縄・海と空と島と人びと・そして東南アジアへ』を上梓した。その東松に導かれるようにして写真家の道を歩むこととなったひとりに中平卓馬がいるが、この2人の沖縄での撮影時期は重複しているだけでなく、興味深いコントラストをなしている。

 60年代末から写真家としてだけでなく評論活動も展開していた中平は、写真が絡んだ冤罪事件の公判傍聴と支援活動のために73年から沖縄へ通うこととなる。この事件がなければ沖縄に行くことはなかったであろうと、「わが肉眼レフ 一九七四・沖縄・夏」という文章(「日本読書新聞」74年9月9日)の中で告白されているが、結果的に東松の後追いのような形となった。

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