死が待ち受ける“メンヘラ芸”の誕生という負の側面――カジュアル化する“病み”の自己発言

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――「メンヘル」という言葉が生まれて数年が経ち、今やSNSでは「メンヘラクラスタ」と呼ばれる集団すら誕生している。この言葉がカジュアル化していく過程で生まれた正負の両側面を見ていこう。

(写真/草野庸子)

 まずそもそも、「メンヘラ」という言葉の意味が拡張してきたのは、何がきっかけだったのだろうか?

「匿名掲示板で使われていたネットスラングが、00年代後半のまとめサイトブームによって多くの人に知られるようになり、10年代のSNSやツイッターブームによって一層拡散されたと考えられます。その過程で、『躁鬱さん』『ヒキニート』など、別の名前で呼ばれていた人たちも可視化されるようになり、まとめて『メンヘラ』と呼ばれ出した、と分析できます」と、メンヘラを自認する人たちが自らの体験や情報を共有するサイト「メンヘラ.jp」の管理人、わかり手氏は語る。

 確かにツイッターがポピュラー化して以降、「メンヘラ」という単語を目にする頻度は格段に高まり、その使われ方の多様さも著しく拡大しているのは肌感覚でも理解できるところだ。自身もメンヘラであり、多くのメンヘラと交流しているわかり手氏は、「かつては椎名林檎や南条あや【編注:90年代のインターネット黎明期に一部で人気を獲得したネットアイドル。99年逝去】のようなカリスマがいて、それを崇拝する図式だったものが、ツイッターでは誰でも“病み”を発信できる。その中で数々のアルファ垢(影響力のあるアカウント)が生まれ、いわば手軽にカリスマになれる時代になりました」と分析する。

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