【コラムニスト・湯山玲子】"既得権"を享受できないマツコ・デラックスだからこそ視聴者に刺さる"まっとうな意見"

――『バラいろダンディ』や『スッキリ!!』等でテレビコメンテーターも務める評論家の湯山玲子氏。テレビの現場を知る氏だからこそ見えてくる、マツコの魅力とは?

コラムニスト

湯山玲子
ゆやま・れいこ コラムニスト、ディレクター、日本大学藝術学部講師。『バラいろダンディ』(TOKYO MX)、『スッキリ!!』(日本テレビ)にレギュラー出演。最新刊『男をこじらせる前に』(KADOKAWA)内でマツコ・デラックス論を展開している。

『男をこじらせる前に』(KADOKAWA)

 実はマツコさんて、「思いがけない角度から物事を分析する人」ではなく、「大人の真っ当な見識をきちんと言える人」だと思うんです。「女子アナってムカつく!」って、心ある人は誰でも思っていたこと(笑) でも今のテレビにはそれを言える人がいないから、結果マツコさんの独自性が際立つ。

 どういうことか? マツコさんは、テレビはTOKYO MXの『5時に夢中!』出身。あの番組は、ひとつの話題についてじっくりトークができるんです。キー局の情報番組は、短時間で印象に残ることを語る“瞬発力”がキモ。一方『5時夢』は低予算の“見るラジオ”だから、その人がどういう考えを持っているかがよくわかる。だからこそ、マツコさんがただの毒舌ではなく、“まともな考え”の持ち主であることがよく伝わった。そうやって彼は『5時夢』で「言葉のファン」を獲得し、その信頼感をもってキー局に進出していったんだと思います。

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