ビジネス書評論家・水野俊哉がネオヒルズ族に抱く懸念 ビジネス書としての評価は…

──与沢氏の2冊目の著書『秒速で1億円稼ぐ条件』は、前出インタビューでも述べられている通り、莫大なプロモーション費を投じてヒットさせたビジネス書だ。彼らネオヒルズ族が書くビジネス書の内容には、果たして価値があるのか? ビジネス書評論家の水野俊哉氏に、その実力をどう読むべきか聞いてみた。

(画/我喜屋位瑳務)

 ネオヒルズ族の書いたビジネス書の評価ということですが、一般的なビジネス書は、著者の本業における実績の積み重ねの元に書かれています。特に経営者が独自の理論や哲学を語る形式の場合は、何を言っているのかではなく誰が言っているかが大事なんですね。その考えに基づいてまず『秒速で1億円稼ぐ条件』がビジネス本としてどうかという観点でいうと、正直、判断がつきかねます。なぜなら、ビジネス書の著者として評価をするには、少なくとも4~5冊の作品から精査する必要があるからです。

 かつてのヒルズ族も、ビジネスのやり方や人間性といった面が一部からは叩かれましたが、会社としては新規上場をクリアし、数々の事業を展開して雇用を生み出すなど、社会に認められた成果を出していました。彼らネオヒルズ族とヒルズ族が決定的に違うのは、そういった社会性です。残念ながら、現時点では今後の展開に期待します、とさせてください。ネオヒルズ族には、リアルなビジネスをしている人たちが守っているモラルやルールから逸脱している印象があります。とにかく現金をひたすら集め、ネット上で稼いだという事実はあるものの、まだ実社会で確固たる実績は示しておらず、文字通り「稼いだ」だけ。書かれている内容も具体的な成功事例も「それ、与沢さんだからできたんでしょ?」というスーパーエピソードが多い気がします。

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