再開発でよみがえる沖縄戦の遺骨

──過去から見る現在、写真による時事批評

比嘉豊光/浦添市前田/2010年

 沖縄那覇に新都心と呼ばれる場所がある。1953年に強制接収され、87年に全面返還された米軍施設の跡地を造成した再開発地区だが、67年前には日米両軍間で激しい攻防戦が繰り広げられた場所でもある。現在は大型ショッピングモールや美術館、マンションなど真新しい施設が立ち並んでおり、日本軍守備隊の陣地があった丘も、わずかに面影を残すのみだ。しかし、かつての激戦地が返還され、再開発されていく過程で、沖縄戦の痕跡が地表に顔を出すことがある。比嘉豊光が撮影したのも、那覇や浦添の再開発地区で掘り起こされた日本兵の遺骨や遺品だった。沖縄戦の潜像が、67年という現像期間を経て地上に浮かび上がってきたかのようだ。

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2024.4.27 UP DATE

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