被害者遺族を尻目に出版される"人殺し本"が持つ、"処方箋"としての効果とは?

『死刑でいいです』(共同通信社)。

──06年5月、福島県で、男子高校生が、母親を殺害して、頭部を切断。9月には京都で、就寝中の父親の首を、娘がオノで切りつけて殺害した。事件の本質を理解し、再発を防ぐために「出版」に課せられた責務とは?

常人では理解しがたい凶悪事件が起こるたび、それに関連した報道が連日のように繰り返され、事件の真相、犯人の真の動機などを探ることをテーマにした書籍が出版される。コラムでも紹介している『僕はパパを殺すことに決めた』【1】は、その代表格だろう。

 そうした本、特に加害者側に立った本の出版を考える上で、被害者と残された被害者遺族という存在を忘れてはいけない。光市母子殺害事件に関するナーバスな報道を見れば、加害者の言動や動機、弁明が、被害者遺族や報道する側の感情を逆撫でする性質を持っていることがわかる。時に殺人を正当化するような加害者の言い分が、出版を介して流布されることもある。ゆえに、その是非をめぐる議論が巻き起こるのが常だ。

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