『ゲド』の悲劇は回避された!? 宮﨑吾朗監督が本家と成し遂げた「なんちゃって」ではないジブリらしさ

「CYZO×PLANETS 月刊カルチャー時評」とは?

本誌連載陣でもある批評家・編集者の宇野常寛氏が主宰するインディーズ・カルチャーマガジン「PLANETS」とサイゾーがタッグを組み、宇野氏プロデュースのもと、雑誌業界で地位低下中のカルチャー批評の復権を図る連載企画。新進気鋭の書き手たちによる、ここでしかできないカルチャー時評をお届けします。見るべき作品も読むべき批評も、ここにある!

【今月の一本】
『コクリコ坂から』

氷川竜介[アニメ評論家]×石岡良治[表象文化論研究者]×宇野常寛[批評家]


──言わずと知れたアニメ監督・宮﨑駿の息子である吾朗氏の初監督作『ゲド戦記』(06年)は散々な評価を受けたが、今夏のジブリの最新映画『コクリコ坂から』では、再び吾朗氏が監督を務めた。この映画、意外や意外、新生ジブリを感じさせる出来だった!?

宇野 今回取り上げるジブリ映画『コクリコ坂から』(以下『コクリコ』)は、宮﨑吾朗監督作品としては2作目で、前作の『ゲド戦記』(以下『ゲド』)と違い、宮﨑駿が脚本でしたね。まずは、それぞれの感想からうかがっていきましょう。

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