電通、博報堂、そしてグーグルを渡り歩いた男が語る「広告の民主化とグーグル広告の功罪」

高広伯彦氏。(撮影/佃大平)

──グーグルの原動力を支えるのは、高度な検索エンジンを生かした広告ビジネスだ。ここでは、大手広告代理店とグーグルの広告戦略を知る高広伯彦氏に、グーグルの広告ビジネスの優位点、そして盲点について語ってもらった。

 グーグルの2010年の売上高は全世界で293億ドル(約2兆3528億円)。うち96%以上が検索連動型広告による売り上げであり、まさに、世界最大級の広告事業会社だといえる。そんなグーグル広告の強みについて、博報堂、電通を経て、05年から09年まで、グーグルで日本における広告営業企画チームのシニアマネージャーなどを務めた、現「スケダチ」代表の高広伯彦氏に聞いた──。

「端的にいえば、グーグル最大の強みは、広告業界の中で唯一"ユーザーに支持される広告"という概念を実現していることです。旧来の広告は、枠を広告主が買い、ユーザーがどう感じようがお構いなしに宣伝をしてきた。しかし、グーグルの広告プロダクトの中心である検索連動型広告は、ユーザーの関心に合致した広告を適切なタイミングで提示することで、それ自体が役立つ情報になっています」

 デバイスやメディアの進化やユーザーの興味や意図により、次々と生み出され、開拓される新たな"広告枠"。しかし、高広氏は「あるキーワードを検索した際に、関連した広告が一件しか出てこなければ、情報としての価値は担保されない」と指摘する。つまり検索の結果、複数の商品・サービスを比較検討できるだけの出稿量がなければ、広告の信頼性は上がらないのだ。グーグルは世界中で検索サービスを展開するスケールメリットを生かし、この問題を解決した。

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