伊坂幸太郎の『マリアビートル』は相変わらずの予定調和に過ぎないのか!?

──"ベストセラー"のハードルが下がる小説界に残された小さな希望……そんな良質な小説だからこそ! ここでは愛ある批評を捧げます。

2010年12月号 NOVELクロスレビュー

■"りさたん"3年ぶり4作目は"喪女"モノ
『勝手にふるえてろ』
作/綿矢りさ
発行/文藝春秋
価格/1200円
発売日/8月28日
綿矢りさの、単行本としては実に3年ぶりの新刊。26歳、彼氏なし貯金なし、元アニヲタ、現在は一般企業の経理課に勤める江藤ヨシカ。本当は"彼氏なし"どころか、誰とも付き合ったことがない。それは、中学校の同級生・一宮(通称"イチ")をずっと脳内で勝手に思い続けているから。そんな彼女は、会社の同期で営業職の"ニ"に言い寄られる。


【批評家・宇野評】
★★★★★★☆☆☆☆
文学オヤジ向け「安全な意地悪さ」
現代的なコミュニケーション過剰に悩む不器用な若者の焦燥を、自虐ユーモアを交えながら繊細さに読み替える……というのは青年/少女マンガの人気ジャンルだが、ロスジェネ世代の女性作家群によって純文学にも定着しつつある。全編を支配する口当たりのいい「安全な意地悪さ」はマンガ基準で考えればヌルいが、純文学リーグでは気の利いたほう。「アニメイト」みたいな固有名詞がわかると、自分はまだ若いと安心できちゃう文学オヤジを騙すには十二分。

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