[TVドラマ編]捏造というテレビ最大のタブー──ドラマ研究家・古崎康成が選ぶ放送コードを超越した作品

──過去のテレビドラマの中で、"常識を覆す作品"を、テレビドラマ研究家の古崎康成氏にピックアップしてもらった。

古崎康成氏が編集に携わった
『テレビドラマ原作事典』

 タブーと言われて真っ先に思いつくのは、フジ系列で放送された『放送禁止』【1】です。これは1話完結の"ドキュメンタリー風"に作られたフィクション作品。ストーカーの回では、被害を受けている女性の談話から、取材班がストーカーを追いつめるのですが、彼は数年前に他界......。と、普通のドラマとは違い、オチがつかず謎を残したまま終了するなど、リアルな映像と構成で、深夜枠ながら話題を集めました。放送の最後には「これはフィクションです」という断りが入るのですが、勘違いした視聴者から、問い合わせが寄せられたと聞きます。かつて、アメリカのラジオ局が『火星人襲来』というドラマを放送したときに、事実と誤認させ大パニックを引き起こした手法を取ったわけです。これは一歩間違えれば、メディアでは絶対的なタブーとされている"捏造"と受け取られかねず、たとえ「フィクションです」というテロップを入れていても「軽率だ」と非難される恐れがあります。そのため、制作者としては視聴者に衝撃を与えるのに効果的な手法だとわかっていても、実際にはためらってしまうはず。同作品は、そこにあえて踏み込んだところに意義があるのです。

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2024.4.29 UP DATE

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