【古川日出男】──香り立つthe coffee groupの音楽と朗読

the coffee groupの面々。左より近藤恵介、小島ケイタニーラブ、古川日出男、鈴木雄介、蓮沼執太。(撮影/中岡恵美)

 いとうせいこうや町田康からやくしまるえつこまで、昨今、ライヴやCDで作家や音楽家の朗読に接する機会が増えている。文芸誌の付録CDに朗読を提供し、向井秀徳など音楽家との共演も多い作家の古川日出男は、そうした流れの中心にいるひとり。その古川が、蓮沼執太やANIMAの小島ケイタニーラブらと結成した5人組ユニットが、the coffee groupだ。デビュー作『ワンコインからワンドリップ』は、今年2月からライヴを重ねてきた彼らの現在形を鮮やかに切り取っている。

 過去、殺気と熱気に満ちた肉声で聴衆を圧倒してきた古川だが、本作での朗読は、小島のメロウなヴォーカルや蓮沼のシルキーな音響処理と溶け合い、幸福な共存関係を築いている。「ふだんの"音楽と刺し違えてやる"との殺気から、もっと解放された感じに跳べた」と古川が言う通り、音楽と朗読は衝突よりも融和を志向し、開放感や風通しの良さを生んだ。

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