ドキュメンタリー監督・森達也が語る『ザ・コーヴ』上映の葛藤と意義

 2009年度米アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞作にして、世界中で物議を醸し続けている問題作『ザ・コーヴ』。舞台となった太地町(和歌山県)からの猛抗議や右派団体の街宣活動がありながらも一度は公開が決定した同作だが、その後も抗議の電話や街宣活動予告が続き、東京では上映を予定していた映画館がすべて上映中止を決定するなど、公開に向けて混乱が続いている(6月5日現在)。

この映画の主人公のひとり、元イルカ調教師のリック・オバリー。"贖罪"の意識から彼は現在、「イルカ解放運動」の最前線で活動しているという。

 フィクションさながらの緊迫した場面の連続、衝撃的なラストシーンなど、ドキュメンタリーとしてのみならず、エンターテインメントとしても評価する声がある一方で、被写体である漁師らの肖像権侵害や隠し撮りという手法、イルカ肉の残留水銀値のデータの妥当性など多くの問題も指摘され、まさに毀誉褒貶相半ばする、といった状況だ。

 その公開に先立ち、オウム真理教信者の日常を追ったドキュメンタリー映画『A』『A2』などの作品で知られる森達也監督と、配給元・アンプラグドの加藤武史代表取締役の両氏に、日本公開に至るまでの道のりや、作品の評価などについて語り合ってもらった。『ザ・コーヴ』公開から見えてくる、日本のドキュメンタリー映画を取り巻く現状と、映画界の今後とは!?

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