AV監督・村西とおる──「前科7犯でも、スペルマを発射する瞬間を公開しても、生きていける」

 よく「懲役行ったらおしまいだ」なんておっしゃる方がいますけど、決してそのようなことはございません。たとえばこの私なんか前科7犯ですし、借金50億円を抱え、自分のチ◯コからスペルマを発射する瞬間や女房とのセックスを無修正で何千万人もの方々にお見せすることになっても、まだこうして生きていける現実があるのですから。

 とはいえ、私も「自分はもうおしまいだ」と思う人生の局面に、何度か遭遇いたしました。中でも一番つらかったのは、86年にAVのロケで訪れたハワイで、旅券法違反などの罪で逮捕され、約半年間もの間、拘禁されていたとき。アメリカの場合は司法取引があるため、お金さえあればある程度のことは解決できるのですが、そのことをまだ知らなかったのです。そんなときに身元引受人などを請け負ってくださった方に、いろいろと本を差し入れしていただきました。一番感動したのは、加賀尾秀忍著の『モンテンルパに祈る 比島戦犯死刑囚と共に』(富士書苑/絶版)。フィリピンのモンテンルパ刑務所で、日本のBC級戦犯が次々と銃殺刑にかけられていく様を、教誨師である著者が綴られた本です。正直、それまで「メキシコ辺りから違法流入している人なんて山ほどいるのに、なんで私だけがこんな目に……」という思いがあったのですが、同じ異国の空の下、黙って殺されていったBC級戦犯たちの話を読んで、「彼らの境遇の不当さに比べたら、今の私なんて!」と勇気づけられました。それから、皇后の美智子様も愛蔵されているという、神谷美恵子著の『生きがいについて』と『人間をみつめて』(共にみすず書房)の2冊も感動的で、帰国後にあらためて購入してしまったほど。著者は精神科医でありながらハンセン病の治療にも熱心に取り組まれ、"なぜあなたたちが悲惨な目に遭わなければならないのか。どうして私ではないのか"という思いで本も書かれています。

 最後に小室の哲っちゃんについてですが、加山のバカ大将は慶応創立150周年のイベントで「消えてなくなればいい」とか言っていましたけど、私はエールを送りたい。"君"と"僕"が延々と繰り返される陳腐な歌詞のラブソングがもてはやされている時代に、一石を投じてもらいたいという願いも込めて、"女性器=赤い傷口"など官能小説の用語・表現が約2300語収録された永田守弘著の『官能小説用語表現辞典』(ちくま文庫)を読ませたいですね。歌は、何も男女間のことを歌ったものに限らなくてもいいわけですから、大の女好きで、"3本足"と称されるほどの巨根をお持ちらしい哲っちゃんには、ぜひ聞いただけでチ◯コが勃起、オ◯ンコが大洪水を起こすような曲を作っていただきたい。そのために、まずはボキャブラリーを増やさないと!(談)

村西とおる(むらにし・とおる)
1948年生まれ。AV監督。80年代に「ハメ撮り」や「駅弁ファック」などの手法を生み出し、時代を席巻。その一方で、86年に未成年の女性をAV出演させたことから児童福祉法違反で逮捕されるなど、計7犯の前科歴も持つ。現在もオフィシャルサイト「村西ちゃんねる」でワンコイン動画を配信するなど、精力的に活動中。

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