自殺大国の実相と社会的包摂の必要性

──6月に発表された統計では、昨年の自殺者数は過去2番目に多い3万3093人に達し、10年連続で3万人を超えたという。こうした現状を受け、自殺対策支援を行うNPO法人ライフリンクでは、遺族を対象に詳細な聞き取り調査を行い、自殺に至る要因などを白書にまとめた。そこでは、経済的要因との相関関係と共に、金融機関破綻による金融不安や貸し渋り、貸しはがし、さらに、急激に進んだ構造改革などの影響が指摘されている。こうした事実を通じて見えた自殺の実態を、神保氏に代わって司会を担当する斎藤貴男氏とともに議論する──。

【今月のゲスト】
清水康之[NPO法人ライフリンク代表]

斎藤 6月に警察庁から発表された統計によると、昨年の自殺者は10年連続3万人を超え、過去2番目に多い3万3093人に達していたことが明らかになりました。まず宮台さんに伺いたいのですが、これについてどうお考えですか?

宮台 ここ10年間だけコンスタントに3万人を超えたり、G8中で日本が1位、OECD(経済協力開発機構)加盟国中でハンガリーについで2位であるなどの、歴史的・領域的な特異性がある以上、昨今の日本に固有の背景があると言う他ありません。ならば、政策的手当が必要です。

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