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雨宮純の「現代怪事廻説」【2】

〈怪事No-02〉参院選で議席獲得 参政党の正体

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インターネットに蔓延り、人々を惑わす幾多の陰謀論の正体を、怪事解明ライターが紐解く――。

参政党年表

2019年4月……前身となるYouTubeチャンネル「政党DIY」配信開始。

2020年4月……参政党結成。

6月……参政党の政治塾「参政党DIYスクール」立ち上げ。

2021年1月……参政党選挙スクール開講。

12月……22年の参院選で比例区5名、選挙区45名の候補者擁立を目指すことを発表。

2022年5月……政治資金パーティー「イシキカイカクサミット」開催。

6月……第2回目の政治資金パーティー「国政政党誕生 予祝パーティー」のチケットを販売開始。8月21日開催予定。

7月……第26回参院選で1議席獲得(神谷宗幣)。選挙区、比例区ともに得票率2%を超え政党要件を満たす。

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(絵/沖真秀)

2022年7月9日、私は東京タワーの足元、芝公園にいた。まったく無名の状態から党員数9万人、政治資金5億円超を集め、同月10日の参院選で1議席獲得に至った参政党の「マイク納め集会」を取材するためである。公式発表によれば、この日芝公園に集まったのは、なんと1万500人。集会の熱気はすさまじく、それは最後に絶頂へと達した。どこからともなく「参政党!」コールが起こり、支持者が手をたたき、拳を振り上げたのだ。まるで、夜空に花火が打ち上がったかのような盛り上がりだった。翌日の選挙では比例で180万票近くを獲得し、N党や社民党を上回った。これほどの熱狂と急成長を見せる参政党とは、一体なんなのか?

参政党とは、元吹田市議会議員の神谷宗幣氏が中心となって、20年に生まれた政党である。無名ではあったが、選挙直前にいきなり結成された党ではない。神谷氏が吹田市議会議員に初当選したのは07年。その後は12年に自民党の公認で衆院選に、15年に無所属で大阪府議会選に出馬したが、どちらも落選と苦労を重ねている。そんな彼が10年に始めたのが、保守派の地方議員を結ぶ「龍馬プロジェクト」というネットワークであり、地方議員や首長のほか、国会議員の参与も名を連ねる。また、13年からはCGSという、YouTubeチャンネルを開設し、保守系言論人を中心とした多数の愛国主義的な番組を制作している。こうした地道な活動の中で立ち上げられたのが参政党なのだ。21年には選挙コンサルタントを複数招いた選挙スクールを開講し、選挙対策も意識している。

現在の参政党を理解する上で重要なのが、「ゴレンジャー」と呼ばれる5人の中心人物である。これは神谷氏のほか、中部大学元特任教授の武田邦彦氏、元財務官僚で衆院議員歴もある松田学氏、アカオアルミ取締役の赤尾由美氏、歯科医の吉野敏明氏の5人だ。メディアへの露出が多い武田氏をご存じの方は多いと思うが、そのほかの人物もクセがスゴい。例えば、赤尾氏はスピリチュアルに傾倒しており、パワーストーンショップの動画に頻繁に出演している。また、吉野氏は「反ワクチン界隈」で有名な人物であり、演説の中でもたびたびワクチンを批判する。5人はいずれも演説がうまく、保守・反グローバル発言に加え、反ワクチンや陰謀論も入り混じる話で聴衆を惹きつけてきた。それは例えば「戦後、GHQによって反日教育を行う仕組みが作られた。マスコミも同様に、反日勢力に放送権が与えられた」「米国産の小麦を食べ続けると病気になる」「超過死亡が増えているのはワクチンのせい」「銀行もマスコミもロスチャイルドに支配されている」といったものである。ところが、これらの主張は、ウェブサイトや選挙公報には見当たらない。参政党を国防や教育を重視する新興保守政党と見て投票した人が演説を聞くと、あまりに濃い主張に腰を抜かすのではないだろうか?

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