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友清哲のビールの怪人【36】

2人の20代が仕掛ける呉の新たなクラフトビール

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――すべてのビール党に捧ぐ、読むほどに酩酊する個性豊かな紳士録。

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ベトナム仕込みの醸造手腕に期待!
現役大学生でもある藤戸淳平さん。ビールをベースにしながら、BBQやグランピングなど、レジャー需要も開拓していく予定だ。

広島県の呉ビールが廃業したとの悲報が飛び込んできたのは、昨年初頭のことだった。呉ビールの設立は1995年で、いわゆる“地ビール”ブームの頃からの生え抜き銘柄だ。設備の老朽化やコロナ禍などさまざまな問題を抱えていたとはいえ、古参ブルワリーの退場はフリークを大いに落胆させたものである。

ところが同年4月、そんな呉市に新たなクラフトビールメーカーが立ち上がった。醸造開始に向けて、着々と準備を進めている、「IB BREWING」だ。ヘッドブルワーの藤戸淳平さんは、なんと横浜市立大学に在学中の現役大学生である。

「生まれが横須賀で、国際色豊かな地域で育ったせいか、昔から海外に興味を持っていたんです。そこで20歳の時に休学し、国際ボランティア団体のプログラムを使って、世界一周の旅に出ることにしました。2017年4月から1年かけて35カ国を巡ったのですが、ビールと出会ったのもその道中でのことです」

まだ英語力がおぼつかないうちは特に、ビールは貴重なコミュニケーションツールになったと藤戸さんは振り返る。

「それなりに英語の勉強はしていましたが、いざ海外へ出てみると、気恥ずかしさもあってなかなか思うように話せません。そこでアルコールの力を借りると、すっと気持ちが楽になって積極的になれることに気がついたんです。ビールは誰とでも気軽に乾杯できる飲み物ですし、特にヨーロッパでは水より安価なので、向こうにいる間は本当に重宝しましたね」

旅で知見を広げ、ビールで世界を広げた藤戸さん。これを題材に起業しようと考えたのも、案外自然な成り行きだったのかもしれない。

そんな藤戸さんのケースがユニークなのは、卒業を待たずにベトナムのブルワリーに直談判し、もう1年休学してブルワー修行を始めてしまった点だ。

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