サイゾーpremium  > 特集  > タブー  > 氷川きよしに何が起きたのか?【2】/【社会学者】きーちゃんを苦しめる疑惑フォーマット
第1特集
氷川きよしに何が起きたのか?【2】

【森山至貴/視点1:クィア】きーちゃんを苦しめてきたテレビ的“疑惑”フォーマット

+お気に入りに追加

――“演歌界のプリンス”と呼ばれてきた歌手の氷川きよし。このところ、“変身”が見られるとして話題となっている。また、週刊誌で“生きづらさ”を語ることもあった。しかし、これらがいわゆる“カミングアウト”に当たるとは言いづらい。一体、何が起きているのか――。フワッとした報道ばかりの状況下、本誌は徹底的に論じる!

森山至貴(社会学者・作曲家)

2002_P050-055_01-2_150.jpg

もりやま・のりたか
1982年、神奈川県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科助教を経て、現在は早稲田大学文学学術院准教授。社会学、クィア・スタディーズを専門とする。著書に『「ゲイコミュニティ」の社会学』(勁草書房)、『LGBTを読みとく――クィア・スタディーズ入門』(ちくま新書)がある。作曲家としても活動している。

2002_P050-055_01-1_320.jpg
『NHK紅白歌合戦』で「紅白限界突破スペシャルメドレー」を披露した氷川きよし。

 私たちには氷川さんが自身の性のあり方をどう認識しているのかはわからないので、現在のパフォーマンスからそれを邪推しても仕方がありません。とはいえ、今の状況がご本人の性のあり方とまったく関係がないわけではないでしょうから、ご本人が望むパフォーマンスができて幸せに生きられているのなら、よいことであると率直に思います。おそらく10~15年前だったら、氷川さんと同じ立場の人が同様のことをできたかというと、できなかったでしょう。そういう意味では歓迎すべきことです。

 ただ、それをどうとらえるかに関しては注意が必要です。クィア・スタディーズは“往って来い”の学問です。どんな性のあり方が存在するか整理して、例えばゲイとトランスジェンダーは違うということをしっかり理解して(=往って)から、しかしそういった枠組みですべての性のあり方が理解できるわけではないと戻ってきて(=来い)、性の多様性をとらえていくもの。

 氷川さんがどんな性のあり方でも、本人がハッピーならいいじゃないか――。それはそうですが、“往って来い”がない状態のフワッとした肯定は、単なる浅い受容となってしまいます。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2020年3月号

バンクシー&現代(危)アート

バンクシー&現代(危)アート
    • 【バンクシー】の矛先と日本
    • バンクシーと【パルコ】の関係
    • 社会を斬る【次世代アーティスト】
    • 【石川真澄×くっきー!】異端美術対談
    • レン・ハン自殺後の【中国写真】
    • 【舐達麻】が吐くラップとタトゥー
    • 【刀剣乱舞】狂騒曲
    • 芸術なのか?【AIアート】の真贋
    • AI推進国【韓国】のAIアート
    • 【高山明×中島岳史】「不自由展」圧力と希望
    • あいトリをめぐる【政治家たち】
    • 【書肆ゲンシシャ】が選ぶ(奇)写真集
    • 【天皇肖像】の含意とアート群
    • 【美術展ビジネス】に群がる既得権益
    • 現代アートの今がわかる書籍群

池田ショコラ、甘くて苦いオトナグラビア

池田ショコラ、甘くて苦いオトナグラビア
    • 【池田ショコラ】大人に脱皮

NEWS SOURCE

インタビュー

連載

    • 表紙/都丸紗也華「このへんで跳ねたいんです」
    • 【ぴーぴる】天真爛漫娘の現代っ子放談
    • 必ず最後に【杏】は勝つ
    • 【ベビーテック】の伝道師が語る普及の道
    • 【萱野稔人】"殴り合い"はなぜ人間的なのか
    • 【イズム】が蘇る2020年の音頭
    • 米発【ミートテック】が狙う中国人の胃袋
    • 【丸屋九兵衛】アンバーを語る
    • 【町山智浩】「スキャンダル」TV局トップのセクハラを暴け!
    • 世界の左派が掲げる【反緊縮経済政策】
    • 小原真史の「写真時評」
    • 笹 公人「念力事報」/令和のマスク騒動
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ博物館」
    • 稲田豊史/「So kakkoii 宇宙」小沢健二の鎮魂歌
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 震災をきっかけに浸透した「んだ」のビール
    • 更科修一郎/幽霊、雑誌もまた老いて死んでいく。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』