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「マル激 TALK ON DEMAND」【153】

【神保哲生×宮台真司×藤島 大】ラグビーW杯を100倍楽しむ醍醐味はブレークダウン

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――ビデオジャーナリストと社会学者が紡ぐ、ネットの新境地

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『序列を超えて。 ラグビーワールドカップ全史 1987-2015』(鉄筆文庫)

[今月のゲスト]
藤島 大[スポーツライター]

――9月20日に日本で開幕するラグビーW杯。今回は都立秋川高校、早稲田大学ラグビー部OBでスポーツライターの藤島大氏と、桐蔭学園、ICU、コロンビア大学ラグビー部OBである神保哲生氏の2人が、「ラグビーをまったく知らない」宮台真司氏にラグビーのディープな面白さを丁寧に解説する。その醍醐味は「ブレークダウン(密集)」にあるという。

神保 今回は、9月20日から日本でラグビーのW杯が開催されるのを受けて、ラグビーを取り上げます。僕自身も、中学から大学院を卒業するまでずっとラグビーをやっていましたが、日本のラグビー選手にとって、このW杯は特別な意味を持っています。アジア初ということもありますが、なんといっても世界のラグビー強豪国以外でW杯が開催されるのはこれが初めてです。この機会に日本ラグビーが、長年の夢だった強豪国の仲間入りができるのかどうかがかかっています。

宮台 子どもたちは野球ごっこ、サッカーごっこはしますが、ラグビーを知る機会はほとんどありません。突然テレビで見ても、何が起こっているのかよくわからない。

神保 僕もそう思いました。でも、ラグビーの面白さがわからないまま、世界の強豪国が一堂に会するW杯を迎えるのは、あまりにももったいないと思います。そこで今回は、ラグビーを知らない宮台さんに、W杯を100倍楽しんでもらえるように、ラグビーの本当の魅力をご紹介したいと思います。

宮台 僕がこの話を聞いたら、子どもたちと「ラグビーごっこ」はできますか?

神保 お子さんと遊ぶなら、タックルなどのコンタクトをしない「タッチラグビー」がいいと思います。多分、サッカーよりも楽しいと思いますよ。あとは、エネルギーが有り余っていたり、ケンカが絶えないような子どもには、コンタクト有り(どつき合い)のラグビーはお薦めです。

 僕は中学校でラグビーを始めたのですが、これは小学校のときにケンカが絶えず、いつも校長室に呼ばれていたからです。たまたまその校長先生の息子さんが、伊藤忠幸さんという、ラグビー日本代表のキャプテンだったんです。その校長から息子さんの写真なんかを見せられた後、「そんなにケンカがしたいのなら、中学に行ったらラグビーをやりなさい」と言われ、それを忠実に実行したわけです。ラグビーをやるようになると、毎日グラウンドでどつき合いをしているようなものなので、日常生活ではパタッとケンカをしなくなります。校長のアドバイスは実に的確でした。

宮台 素晴らしい知恵ですね。

神保 今回のゲストは早稲田大学ラグビー部OBで、スポーツライターの藤島大さんです。今日は藤島さんと、月並みなW杯の見どころとかではなく、ラグビーの一番の醍醐味であると同時に、一般の方に一番わかりにくい「ブレークダウン」(密集)にまで踏み込んで、ラグビーのディープな部分を解説してみたいと思います。ラグビーは敵陣にボールを運び、ラインを越えたところにボールを置いたら点が入る(トライ)、ということはみなさんご存じかと思います。あとは、前にパスしてはいけないということくらいでしょうか。ただ、実際にラグビーの試合を見てみると、すぐに選手が密集してグチャグチャした状態になってしまい、何が起きているのかわからない時間帯が長いところにラグビーの難しさがあるのではないかと思います。タックルなどでボールが止まって人が密集する状態を「ブレークダウン」というのですが、このブレークダウンで何が起きているのかがわかるようになると、ラグビーは軽く10倍くらいは面白くなるはずです。

宮台 僕ら素人には何が起こっているかわからず、その密集から突然ボールが出てきて、また走り始めて、すぐにまた密集して……となりますね。

重量と力だけでは勝てないスクラムは日本人向き

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