サイゾーpremium  > 特集  > エンタメ  > ヒロインは美人だけじゃない【2】/傑作【ブス主人公】作品レビュー

――“ブス作品”が描き出そうとしているものとは一体なんなのか? 『人生を狂わす名著50』(ライツ社)などで知られる書評家の三宅香帆氏に“ブス作品”4作の短評を執筆してもらった。

1903_P054-059_column001_230.jpg

[小説] 木嶋佳苗事件がモチーフに
【1】『BUTTER』

著者:柚木麻子
出版社:新潮社
価格:1728円(税込)
刊行年:2017年

『ランチのアッコちゃん』(双葉社)や『ナイルパーチの女子会』(文藝春秋)など、女性性をテーマに据えた作風で知られる作家・柚木麻子氏による長編小説。週刊誌の記者として働く町田里佳は、かつて交際していた男性3人の殺害容疑で逮捕された梶井真奈子、通称「カジマナ」への取材を試みるも、面会を通じて徐々に「カジマナ」の影響を受けていき……。なお、本作について木嶋佳苗は自身のものとされるブログ上で批判を展開している。第157回直木三十五賞候補作。

[三宅評]
本書には、通称「婚活殺人事件」の犯人である木嶋佳苗氏をモデルにした「カジマナ」という女性が登場する。ブスだけど色気がある、ブスだけどモテる……本書の中では、カジマナに対して「なんでブスなのに愛されてるの?」と男性も女性も疑問を抱く。実際、カジマナを愛する男性たちは、カジマナを崇拝しつつどこかで「ブスなのに俺は好きになってやった」と蔑視を向ける。そしてカジマナ自身も「こんな技に引っかかるなんてちょろい」と男性たちを下に見る。恋愛とはそもそも対等な関係の延長線上にあるはずだが、「容姿に恵まれない女性が愛されている」だけで、そこに上下の関係を作り出してしまう人々がいることを、『BUTTER』は発見している。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2021年10・11月号

伊織いお「パワフル&セクシー」

 伊織いお「パワフル&セクシー」
    • 【伊織いお】ボディメイクで鍛えた体!

(秘)読書案内

(秘)読書案内
    • 【YouTuber本】ヒット戦術
    • 【RYKEY DADDY DIRTY】ムショ読書
    • 【イスラム】を理解するための本
    • 尖端的すぎる【写真集】
    • 【フェティシズム】写真集の華麗なる変遷
    • 【スピリチュアル出版社】イチオシの本
    • 【エロ本】衰退史
    • エロ本業界の【歴史】がわかる参考文献
    • 【現代のエロマンガ家】の4冊
    • 【ヒップホップ文化】を学ぶ本
    • 17歳の【新鋭ラッパー】に聞く
    • 今流行りの【中国ミステリ】の世界
    • 占領下生まれのイビツなニッポン【図書館】

NEWS SOURCE

インタビュー

連載

    • 【マルサの女】高崎かなみ
    • 【高槻実穂】グラビア
    • 【藤木由貴】実家グラビア
    • 【グレイテストラウンドガール】プールパーティ
    • 【後藤直義】GHOST IN THE TECH
    • 【丸屋九兵衛】バンギン・ホモ・サピエンス
    • 【稲田豊史】オトメゴコロ乱読修行
    • 【萱野稔人】超・人間学
    • 【クロサカタツヤ】ネオ・ビジネス・マイニング
    • 【神保哲生×宮台真司】マル激 TALK ON DEMAND
    • 【辛酸なめ子】佳子様偏愛採取録
    • 【小原真史】の「写真時評」
    • 【笹 公人×江森康之】念力事報
    • 【田澤健一郎】体育会系LGBTQ
    • 【澤田晃宏】外国人まかせ
    • 【大石始】マツリ・フューチャリズム
    • 【AmamiyaMaako】スタジオはいります
    • 【DJ DARUMA(PKCZ(R))& JOMMY】BLACK PAGE
    • 【友清哲】ビールの怪人
    • 【西国分寺哀】大丈夫?マイ・フレンド
    • 【町山智浩】映画でわかるアメリカがわかる
    • 【更科修一郎】批評なんてやめときな?
    • 【花くまゆうさく】カストリ漫報