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【premium限定連載】芸能ジャーナリスト・二田一比古の「週刊誌の世界」

内田裕也には頭が上がらない!? 賛否両論のスーパースター沢田研二の軌跡をたどる

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1811_sawada.jpg『沢田研二 in 夜のヒットスタジオ [DVD]』(ユニバーサルミュージック)

 御年70歳。古希を迎えた沢田研二の原点は大阪のライブ喫茶にある。京都で育った沢田は高校までは野球少年だったが、中退してバンドを結成。大阪ミナミにあったライブ喫茶「ナンバ一番」でロックバンドのボーカルとして歌っていたところを、「渡辺プロ(ナベプロ)」にスカウトされた。

「当時は東京から大阪、博多まで全国にスカウトマンが出向き、これという逸材を探していた。特にライブ喫茶は金の卵の宝庫だった」(元大手プロ幹部)

 ナベプロへの橋渡しをしたのはロックンローラー・内田裕也だった。内田の口利きがなければ、今の沢田はなかった。

「見た目と違い男気のある古いタイプの男」と言われる沢田は、義理人情に熱く、芸能人との付き合いをあまりしないが、今でも頭が上がらないのが内田と言われている。

 業界最大手だったナベプロはGS(グループサウンド)ブームに乗り沢田をボーカルにしたザ・タイガースを結成。美男で美声の沢田はたちまちGS界のスターとなった。しかし、GSブームは短く、ザ・タイガースはわずか4年で解散。多くのGSの残党が進路で悩むなか、沢田はソロとして活動。ここからさらに人気はヒートアップ。「ジュリー」時代の到来だった。音楽賞も数々受賞。77年には「勝手にしやがれ」で日本レコード大賞を獲得。生中継したTBSの特番は50%という驚異的な視聴率を叩き出した。

「当時はまだレコード大賞に価値があり、誰もが“今年は誰なの”と関心を寄せていた時代とはいえ、この数字は沢田人気以外のなにものでもない」(元女性誌記者)

 大賞をきっかけに沢田はさらに精力的に歌手活動に挑んだ。「てっぺんをとったら落ちたくないと思うもの。沢田はそれが人一倍強かった」(元レコード会社社員)

 楽曲に合わせメイクや衣装も過激さを増していった。ビジュアル歌手の完成形が沢田と言われ、後輩歌手も大きく影響を受けた。今では当たり前のようにビジュアル系バンドが誕生するようになったが、当時の沢田には「男のくせにお化粧してスケスケの服で歌う。気持ち悪い」と世の主婦層からの反感も少なくなかった。しかし、この批難こそ沢田側が意図していたものだという。

「歌手は反感を持つ敵がいれば、賛同する味方もいて初めてシーソーのようにバランスがとれる。賛否両論が出て騒ぎになることは注目度の高さの証明。“好きでも嫌いでもない”と言われている方が、芸能界で大きな伸びは期待できない」(芸能プロ関係者)

 今回のドタキャン騒動でも「絶対にいけないこと」と非難する人が多いなか、堺正章ら昔から沢田を知る歌手たちからは「沢田らしい。沢田美学を貫き通せばいい」とエールを送る声も出ている。賛否両論。敵も味方もいることが、沢田の原点である。

 しかし、自身の美学を貫きスーパースターとして不動の地位に築いた沢田だが、時代の流れと老いには敵わない。続々と現れる後輩歌手の台頭が沢田を一線から追いやったという。

「同じ事務所からビジュアルを主体としたロック歌手、吉川晃司がデビュー。スタッフも沢田から吉川に力を入れるようになった。沢田は数人のスタッフを連れて静かに事務所を辞めていった」(前出)

 野球界ならいつまでもエースでいられないし、相撲界なら横綱の地位を守り続けることはできない。力のある後輩が出てくれば、逆に居座るほうがみじめ。それも沢田の美学だった。

 一線を退く形になった沢田は他のバンドを結成して音楽活動を続けていったが、次第に晴れやかな舞台からフェイドアウト。ソロコンサートが活動の中心となる。それは「ジュリー」を卒業する瞬間でもあった。

「沢田はジャニーズのような女性ファンしかいないアイドルではない。男性ファンも多くいたスター歌手。ただ、事務所の作戦もあって“ジュリー”を演じていた。歌手だけでなく役者として映画やドラマでも活躍した。そこには自分の意志だけでなく、やらされていた部分もあった。今度は沢田研二として自分一人の力で勝負したくなったのだと思う」(音楽関係者)

 ビジュアル路線を止めることで、体型など美貌の維持も止めた。年相応の体型になり、「今の俺を見たい人だけ見にくればいい」と考え方を変えた。それでもコンサート会場を常にいっぱいにできるのが沢田の凄さ。そんな沢田を支えてきたのが妻で女優の田中裕子(63)である。次回、沢田の私生活を紐解く。

(敬称略)

二田一比古
1949年生まれ。女性誌・写真誌・男性誌など専属記者を歴任。芸能を中心に40年に渡る記者生活。現在もフリーの芸能ジャーナリストとしてテレビ、週刊誌、新聞で「現場主義」を貫き日々のニュースを追う。

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