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出版界ホンネとウソとウラ話 第13裏話

アマゾン神話がついに崩壊!? 出版社を格付けする本当の理由

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 もはや、ここはAmazon専用コラムかと怒られてしまいそうだが、アマゾンジャパン(Amazonの日本法人)が、出版社の格付けに続いて、またまた日本の出版社を怒らせている。というのは、14年7月にアメリカでサービスインした「Kindle Unlimited(キンドル・アンリミテッド)を巡っての話だ。

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『アマゾンにも負けない、本当に強い会社が続けていること。』(翔泳社)

 同サービスは、月に9.99米ドルを支払えば、電子書籍60万点とオーディオブック8000タイトルを自由に読むことができるというもの(タイトル数は発表時)。日本では、NTTドコモの「dマガジン」やソフトバンクの「ビューン」などキャリアの定額読み放題サービスがあるが、それのAmazon版と思ってもらえれば分かりやすい。同社はアメリカ本国を皮切りに、他国にもこのサービスを導入していく考えだという。

 ということで、その話が日本の出版社にも来た。キンドル・アンリミテッドをやりませんかと。しかも、提供してほしいタイトルとその使用料金まで細かく明記して、出版社に手渡した。しかし、その使用料の基準が出版社からすると、甚だ不透明で訝しいものだった。使用料は3カ月、6か月、1年間などの期間とタイトルに合わせて、その金額を決めているとアマゾンジャパンは説明する。しかし、年間何十万円というタイトルから年間数百円というものまで、ピンキリの設定だったというのだ。

 ある出版社は言う。「1巻無料で2巻からは有料という電子コミックの販売方法がある。それでやれば、古い作品でも1カ月で数十万円のお金が入ってくる。使用料の詳細は言えないが、どういう根拠でこの金額になったかはよく分からない。まったく割に合わないので、この話は断った」

 前出の出版社のように、あるビッグタイトルすら3カ月で数十万円という使用料だったため、契約を断ったという話は他の出版社からも耳にした。「いまや定額読み放題サービス、とくにdマガジンは出版社にとってきちんと商売になっている。電子雑誌でこれほどの金額が入ってくるのだから、キンドル・アンリミテッドの使用料金では、契約する出版社はないだろう。あるとしたら、よほど金に困っているところくらいだ」(大手出版社営業幹部)出版社にとって、ビッグタイトルのコミック作品は金の卵。その事情を知ってか知らずか、なぜそのようなはした金を提示したのだろうか。これでは、出版社に怒ってください、断ってくださいと言ってほしいとすら思える。

 アメリカでも似たような事情が起きているようだ。ペンギン・ランダムハウス、アシェット、サイモン&シュスター、ハーパーコリンズ、マクミランの大手5社(ビッグ5)は自社の書籍を提供していないという。おそらく、日本の出版社のサービス同様にかなり足元をみられた契約内容だったのだ、と想像がつく。

 しかし、このサービスも、アマゾンジャパンの出版社格付けの1つの基準に入ってくることは容易に想像できる。契約してくれないと、アマゾンサイトでの扱いが悪くなりますよと迫ってくるのは必至だろう。出版社はその圧力にどこまで抵抗できるのだろうか。すでに、年間契約の報奨金の利率交渉において、アマゾンジャパンに押されているのが、日本の出版社の現状だ。詳細は省くが、あまりに強引に利率を上げろとの交渉に嫌気がさした出版社が年間契約を解消したら、大量の返品をくらって大赤字になった。それで、再度アマゾンジャパンの言う通りに契約し直したという話もあるくらいだ。

 本来であれば、楽天や7ネットショッピングといった大手サイトがAmazonをけん制するだけの力をもっていれば、出版社も色々と交渉もできるのだろう。しかし、「Amazonに追い付くのは何年かかるのか、いや、追いつけないのではないか」(ネット事業者)などと言われるほど、その差は大きく開いている。Amazonも当然、この状況を理解して、優位に交渉を進めてくることだろう。

 ただ、出版社自ら自覚をもって、アマゾンジャパン以外の売上を上げていこうとしない限り、この状況は永遠に続いていくことだろう。売れるからという理由だけで、アマゾンジャパンと容易に手を結ぶことはやめた方がいい。それは前回、前々回に書いたこのコラムを読んでいただければ分かるはずだ。あくまでも出版社は、消費者利益を高めるために省きたい"仲介業者"の1人に過ぎないのだから。

(文/佐伯雄大)


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