サイゾーpremium  > インタビュー  > 【BAD HOP】──川崎の不良グループが開拓する新時代のラップ
インタビュー
〈高校生RAP選手権〉を制した不良たちのスター

【BAD HOP】「不良のロール・モデルになりたい」川崎の若きラップ・クルーが拓く新時代

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――話題の〈高校生RAP選手権〉を制し、不良たちの間でスターとなったT-PABLOWとYZERR。そんな双子の兄弟を中心とする川崎のクルーは、どんな未来を思い描いているのか?

(写真/有高唯之)

「私には日本武道館が見えました! ミリオン・ヒットが見えました! この番組は、さらに大きくなるでしょう!」。そう言うと、音頭を任されたBSスカパー!の重役はグラスを掲げた。中に入っているのはジュース。何せこれは、〈高校生RAP選手権〉(以下、〈高校~〉)の打ち上げなのだ。「乾杯!」。声を上げる大人たちの視線の先には、この日の優勝者で18歳のラッパーT-PABLOWがいる。

 〈高校~〉はBSスカパー!の企画で、2012年に第1回が放送されるや大きな反響を呼んだ。第3回より公開収録が行われ、開催ごとに規模が拡大する会場は常に若い観客に埋め尽くされる。重役が期待するのも当然だ。そして同番組の最大の功績が、第1回の優勝者だったものの、その後、音沙汰がなくなり、冒頭の第4回で復帰し再び優勝を遂げたT-PABLOWを輩出したこと。彼はラップの技術が優れているのはもちろん、天性の華やかさがあり、ステージに登場するたび黄色い歓声が上がっていた。第5回で優勝した双子の弟YZERRとともに、審査員を務めるZEEBRAの新レーベルと契約するなど、少年少女向けエンターテインメントといえばオタク・コンテンツばかり注目されがちだが、不良っぽい子たちの間ではすでにスターだ。しかし、T-PABLOWは浮かれていない。

「〈高校~〉は、オレにとっての青春でした」。1995年生まれで、普通ならこの春、高校卒業の年のT-PABLOWはそう言うが、実は彼は学校に通っていなかった。

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