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――AKB48論客としても知られる芸能評論家・三杉武が週刊実話誌をぶった斬る!!

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「週刊文春 2013年 10/17号」

1位「AKB峯岸みなみ本誌記事『ネット流出犯』が電撃逮捕!」(週刊文春)
2位「飛鳥涼独占告白3時間『暴力団員から薬物を受取り、映像を撮られたのは事実です…』」(週刊文春)
3位「能年玲奈 爆乳化で処女喪失」(「週刊実話」)
4位「吉高由里子『AVに出たい』」(「週刊実話」)
5位「独占!有森也実『ヤクザ愛人SEX』」(「アサヒ芸能」)

 今週話題をさらったニュースといえば、なんと言っても人気グループKAT-TUNの田中聖がジャニーズ事務所から契約解除された案件だろう。

 田中の素行の悪さが取り沙汰されるのは、今に始まったことではない。解雇の理由とされる副業、いわゆるバーの経営も、事務所を介さないライブ開催とクラブDJ出演も、女性問題も、タトゥーも、過去に再三にわたって夕刊紙や週刊誌などで伝えられており、今さら感はぬぐえない。タイミングから見れば、やはり解雇の直接的原因となったのは女性ファンにメールしていたとされる“局部”写真が流出し、一部実話誌などで報じられたことに思えるが、これまで数多くの話題を振りまいてきた田中だけに、あるいはそれ以上の理由があるのかもしれない…。いずれにせよ、今後の田中の動向には要注目である。

 すっかり田中に話題を奪われてしまった感もある今週の週刊誌ネタだが、いち芸能マスコミ人として個人的にもっとも興味を惹かれたのが、「週刊文春」の「AKB峯岸みなみ本誌記事『ネット流出犯』が電撃逮捕!」だ。

 今年1月に同誌が峯岸とGENERATIONSの白濱亜嵐とのお泊まりデートを報じた際、運送会社に勤務し、全国へ発送される雑誌の仕分けを担当していた男が発売前の同誌の当該記事を携帯電話で撮影し、インターネット上の投稿サイトにアップした。その犯人の男が著作権法違反の容疑で逮捕されたのだ。

 最近は、“まとめサイト”などで多くの週刊誌や実話誌、スポーツ紙の記事が発行元に無断でアップされているケースが目立つ。中には、発売前の早刷りを見て記事をパクッているものや誌面を丸ごとスキャンして、そっくりそのまま写真までアップしている悪質な場合もある。10代や20代の若い連中と話すと、「新聞や週刊誌なんて買ったことありませんよ。面白そうな記事はたいていネットに上がっていますからね。タダで見られるのに、金を払うなんてアホでしょ。そういうことを知らない無知でバカなオヤジたちしか買わないですよ」なんてことを平気で言う。

 たしかに、ちょっとインターネットで検索をかければ、芸能記事はもちろん、過去の映画やアニメ、テレビ番組、無修正のエロ動画までタダで見ることができてしまう昨今。インターネットの世界は、著作権も何もあったものではなく、完全に無法地帯と化している。誰か1人がデータや画像、動画をネットに上げれば、それが個人のブログやまとめサイトを通じて拡散し、多くの人たちが目にする状況なわけで、たとえ違法性があったとしても完全に取り締まるのは難しい。

 だからと言って、手をこまねいていては、状況は悪化するばかりだ。芸能マスコミに関しては、少し前から一部写真週刊誌が朝刊スポーツ紙に対し、早刷りを引用して記事にすることを自粛するように求める動きがあるが、“真の敵”は同業他社ではなく、見えざるネット住人だろう。紙媒体の危機の要因すべてをこのことに押しつける気は毛頭ないが、少なからず大きな影響を及ぼしているのも事実。

 今回の逮捕が、無法地帯と化しているインターネット世界の健全化に一石を投じることになるのを切に願う。

 続いては、これまた「週刊文春」から「飛鳥涼独占告白3時間『暴力団員から薬物を受取り、映像を撮られたのは事実です…』」という記事。同誌で以前にシャブ疑惑を報じられたASKAが誌面に登場し、シャブの使用を否定するとともに、自身が“アンナカ”と呼ばれる中枢興奮・鎮痛剤「安息香酸ナトリウムカフェイン」を愛用していることや、親交のあった暴力団員から“アンナカ”の吸引シーンを隠し撮りされ、「覚せい剤吸引」と捏造されて多額の金銭を貸すように強要されていたことなどを告白している。

 記事の中では、何故か「エイベックス」の松浦勝人社長も登場。ASKAいわく、「クスリで唯一心当たりがあるとしたら、文春でも薬物疑惑が書かれたエイベックスの松浦(勝人)君。彼のパーティーなんかに呼ばれて行ったこともあるから、仲間だと思われたりしていたかもしれない。松浦君ともクスリの話はしたことはないけど、彼にそういう噂があるってことは知っていました。だから僕もその一派かと思われたのか、と思いますけど」とのこと。

 松浦氏にとってはとんだトバッチリ以外のなにものでもなく、事実関係を知らない以上は不用意な発言は控えたいが、かねてから松浦氏の疑惑を追及している文春編集部の執念を感じた。

 同誌が発売された直後、「ASKAサイドが無断掲載だと文春に激怒している」という情報を耳にしていたが、案の定今月10日に所属事務所が公式ホームページで「本人が承諾したものではありません」や「ASKAが弊社に無断で記者との接触を行い、違法ではないとしても薬物の入手経緯や、音楽関係者と称した人物との関わりについて掲載された記事の内容は、これまでの信頼関係を損なうものとして大変遺憾です。これらの経緯についても本人の認識が甘く、極めて不適切な行為であったと疑われても否定できません」とし、ASKAの活動自粛を発表した。

 “男と男の話し合い”で騒動の鎮静化を目指していたはずが、結果的には火に油を注ぐ結果になってしまったASKAだが、やはり相手が悪かった!?
 
 同じイケイケ路線でも、殺伐とした雰囲気の「週刊文春」とは打って変わって、何故かホッコリした気分になれるのが「週刊実話」の記事。

 今週号でも、ブームとなったNHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」に無理やり引っ掛けたとしか思えない「能年玲奈 爆乳化で処女喪失」なんていかにもの記事が誌面を彩っている。百歩譲って、能年が「あまちゃん」での清純派イメージから脱却するために露出を増やしたり、発育家庭により推定Bカップとされるバストが大きくなったりする可能性はなくもない。

 まあ、所属事務所の方は“第2のガッキー”としてしばらくは清純派路線を歩ませるとは思うが…。そんなツッコミは抜きにしても、そこに「処女喪失」と言うフレーズまで絡めるあたりはさすが実話だ。

 初めに見出しありきの記事としか思えないが、そもそも芸能界はファンタジーの世界。爆乳化と処女消失の因果関係うんぬんなどクソ喰らえである。この記事を読んで、偶然「あまちゃん」を見た世のオヤジたちがつかの間、能年の巨乳やSEXに思いを馳せて、通勤ラッシュの満員電車のツラさや上司の理不尽な説教、妻からの悪態、娘からの侮蔑の視線…、そんな困難に打ち勝てるのであれば、それで良いではないか。

 能年だって、はじめは“じぇじぇじぇ!”と驚いたとしても、きっと最後は笑ってくれるはずだ。あとは、夢を忘れた大人たちが野暮なクレームをつけないことを祈るばかり。何かとガチンコがもてはやされる昨今。かつて芸能マスコミの矜持とされたファンタジーを追求する姿勢を大いに評価したい。

 そういう意味では、同じく週刊実話の「吉高由里子『AVに出たい』」も要チェック。とはいえ、こちらの場合はちとファンタジー性には欠ける。吉高なら中目黒界隈の行きつけの飲み屋で、「私さ~、最近仕事が忙しくて、ごぶさたで。もうAVでも出ちゃおうかな~」なんて仕事のグチを交えながらホッピー片手に普通に言っていそうな、いかにもなフレーズだ。

 どうせなら「複数プレーがしたい」とか「ゴックンしたい」とか、「逆レイプしたい」とか、「縛られたい」とか、もうひとひねり欲しかった。

 最後は、実話誌の中ではもっともガチンコ度が高い「アサヒ芸能」の「独占!有森也実『ヤクザ愛人SEX』」。アサ芸と言うと世間的には飛ばしのイメージが強いが、業界内では「記者がかなりしっかりと取材している」と評されており、目立たないが時折スクープも出している。

 今回は織田裕二や鈴木保奈美が出演し、90年代を代表する人気トレンディードラマとして知られる「東京ラブストーリー」で主要キャストを務めた有森也実が11月公開の映画「TAP 完全なる飼育」で激しい濡れ場に挑戦していることを取り上げている。

 暴力団の若頭の愛人役の有森は、劇中で自らパンティの中に手を突っ込むオナニーシーンやバッグ、対面座位でのSEXシーンも披露しているとか。「東京ラブストーリー」にハマった30代後半以上の年齢層には何とも興味深い話題で、最近は今後雑誌の購買を支えるであろう40代以上の読者層にターゲットを絞った誌面構成で勝負をかけているアサ芸らしい記事とも言えるだろう。「ヤクザ」、「愛人」、「SEX」というフレーズを使っているあたりも、いかにもアサ芸らしく、見出しだけでも合わせ技1本だ。

三杉武(みすぎ・たけし)
大学を卒業後に全国紙で記者を経てフリーに転身。記者時代に培った独自のネットワークを活かして、芸能評論家として活動。週刊誌やスポーツ紙で独自の視点からコメンテーターを務めるほか、スクープ記事も手掛けている。アイドルやアニメ、TRPG、プロレスなどのサブカルチャーにも造詣が深い。2012年には「AKB48総選挙2012公式ガイドブック」にて “10論客”として「第4回AKB48選抜総選挙」の予想および解説を担当。翌2013年にも「AKB48総選挙2013公式ガイドブック」にて、“8論客”として、「第5回AKB48選抜総選挙」の予想および解説を務める。

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