サイゾーpremium  > 特集  > タブー  > 社長は【雨上がり・宮迫】の元相方 ブランド躍進の影

──いま女子ファッションを席巻しているのが、“原宿系”“青文字系”と呼ばれるカジュアルブランドだ。その中にあって特に人気を誇るMERCURYDUO、EMODA等を抱えるアパレル企業マークスタイラーの背後には、少々黒い噂が渦巻いている。変わり種の実業家社長が率いる躍進ブランドの、裏の顔を覗いてみよう。

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マークスタイラーと「VOGUEgirl」(コンデナスト・ジャパン)が組んで発行している雑誌「RUNWAY channel」。第一号(写真右)では水原希子、第二号では藤井リナを表紙に起用するなど、きちんと今の人気モデルを引っ張っているあたり、才覚は抜群である。

 メンズファッションにおける90年代原宿ブームの顛末については、特集【ついにお陀仏! 裏原ファッション】で見てきた通りだ。翻って現在、女子ファッションにおいては再び原宿がホットスポットになっている。2010年を過ぎた頃から、きゃりーぱみゅぱみゅに代表される原宿系や、若槻千夏がプロデュースするW♡Cなどが分類される渋原系(ギャル系=渋谷と、個性派=原宿系の融合)、そしてそれらを内包した青文字系と呼ばれるジャンルが人気を誇っているのだ。

 青文字系は、00年代後半に「CanCam」(小学館)が牽引した赤文字系への対義語として作られたジャンル。雑誌でいうと「Zipper」(祥伝社)や「Sweet」(宝島社)などが該当する。赤文字系の“愛されファッション”とは異なり、カジュアルなスタイリングで「自分の着たい服を着る」というのが特徴だ。

 その中で今特に元気なのが、「EMODA(エモダ)」や「MERCURYDUO(マーキュリーデュオ)」「dazzlin(ダズリン)」「MURUA(ムルーア)」といった、20歳前後の女性から絶大な支持を受けるブランドを擁するマークスタイラー(東京都渋谷区。代表:惠藤憲二)である。ここで並べたブランドを男性読者はほとんど知らないかもしれないが、巷ではコスメから何からすべてEMODAで揃えた女子たちが「EMODA族」を自称しているような人気ぶり。グラドルやアイドルからの支持も熱い。マークスタイラー自体の売り上げも右肩上がりで、アパレル業界全体が市場縮小を続ける中、売上高はここ3年だけでも91億円(10年3月期)から163億円(11年3月期)、そして12年3月には273億円に達するほどの成長を遂げている。

 同社の各ブランドの特徴は、ショップで働いていた若くてかわいい女子を「プロデューサー」に抜擢し、さらにビジュアルプレスと呼ばれる美形のプレス担当を揃えること。そして彼女たち自身が雑誌に出演し、アメーバでオフィシャルブログを持って私生活も含めた情報を発信し、商品を宣伝するのだ。

「青文字系の雑誌では、ブランドスタッフの着こなしスナップ企画がよくあるんですが、これに誰を出すか決めるのが、プレス担当の悩みの種になりがち。はっきりいってルックスの問題もあるし、ショップスタッフならシフトの都合もある。ずっと出続けている人がいれば、『◯◯店の誰々さんでお願いします』とメディアのほうから指名されることもありますが、それは数少ないケース。だから、プロデューサーやプレスがそのままメディアに出られるマークスタイラーのやり方は秀逸だと思います」(アパレル業界関係者)

 ショップのみならず、「RUNWAY channel」という自社ブランドを取り扱うECサイトを運営し、5月17~18日に開催されたファッションショー「touchMe 2013」(ベルサール渋谷ほか複数会場)には延べ7500人の招待客が詰めかけるなど、好調も好調のマークスタイラーだが、その背後にはいささか黒い噂がうごめいている。

 マークスタイラーはもともと、ETOAMという持ち株会社の100%子会社だった。ETOAMは、今年の4月に別の子会社である惠藤総研に吸収されている。この2社の代表取締役はともに、惠藤憲二氏というやり手の実業家。66年生まれの惠藤氏は、19歳で起業するのと並行してNSC(吉本総合芸能学院)に通っていた変わり種だ。NSC時代には現・雨上がり決死隊の宮迫博之とコンビを組んでいたという逸話も明かされている。その後、親の抱えた借金を返済すべく、芸人の道をあきらめてコンビニの経営や飲食店のコンサルティングなどを手がけるようになった。そして氏は、実は一大キャバクラグループの経営者としての顔も持っていたのだ。

キャバクラチェーンからペニオクまで扱う挑戦

 現在はすでに解散しているETOAMのホームページを開いてみると、子会社譲渡に関するプレスリリースが掲載されている。内容は、今年1月1日付けで「100%子会社であるINSOU株式会社をINSOUホールディングス株式会社に全株式を譲渡(売却)」(原文ママ)というものだ。このINSOUこそが、氏のキャバクラ事業関連の子会社。かつての社名はレジャックスホールディングスといい(11年7月商号変更)、グループ企業であるレジャックスエンターテイメントを中心に、キャバクラやラウンジといった風俗店の経営・コンサルティングを手がけてきた。さらに遡れば、関西では一時最大手といわれた オスカー系列 と呼ばれるキャバクラチェーンを束ねてきたファンズエンターテイメントが元の会社である。これらは惠藤氏が芸人から方向転換して以降、育て上げてきたビジネスだ。マークスタイラーは05年に設立された会社だが、わずか8年余りの間に急成長を遂げるには、店舗の拡大や資材調達のコストがかかる。キャバクラグループが背景にあると知れば、メガバンクは背景の複雑さを警戒してなかなか資金調達を行わない。となると、ことここにいたるまでこちらの事業で稼いだ資金を元手に、アパレル事業を成長させてきたことは想像に難くない。

 さらにレジャックスホールディングスは、INSOUへの社名変更直後の11年8月、退職を強要された元法務部社員から慰謝料や休業手当の支給を求める訴えを起こされた件がメディアを賑わせた。当の社員が退職を強要された理由は、同社がペニーオークションを扱うことの問題視や、 名ばかり管理職 への残業代不払い等を指摘したところ、「能力不足」の汚名を着せられたため、と報じられている。その後ペニーオークションが実際に詐欺事件化し、社会的に問題視されるようになったのは、すでに知られている通り。詐欺要素満載のペニオクにまで手を出していたとあらば、「胡散臭い」会社というそしりからは免れられないだろう。

 そしてさらに今年4月16日、ETOAMは東京国税局から2億2000万円に及ぶ申告漏れを指摘されていたことが読売新聞にスクープされた。グループ内での合併や分割、社名変更を繰り返し、その中で脱税を行っていたと指摘されている。そしてETOAMは前述の通り、4月1日付で今度は惠藤総研に吸収合併され、こちらがマークスタイラーの親会社となった。それに先駆けて1月に、キャバクラ関連の事業を手がけるINSOUが切り離されている。つまり現在のところ、こちらの事業から惠藤氏は手を引き、彼はアパレル一本に専念する形になっている。

「他業種からの参入者ならではの独自手法で業績を上げ続けているマークスタイラーを、惠藤氏は数年以内に上場させたいと考えているのではないか、というのが最近のアパレル業界での大半の見方です。他社や他業種からの人材の引き抜きもうまい。今売れるものを売り抜くというタフさもある。しばらく拡大は止まらないと思います」(前出・アパレル業界関係者)

 EMODAやMERCURYDUOの服を買う女子たちにとって、ブランドを経営する企業の背景など基本的にはどうでもいいことなはず。しかしながら、ペニオクに脱税と、黒いビジネスに手を染めてケチがついたのでは、右肩上がりの成長企業としてはあまりありがたくないだろう。アパレル業界において数少ない元気の良い企業だけに、くれぐれも足元には万全を期してほしいところである。

(取材・文/小宮 鰯)

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