――ファッション業界の中枢にいる、“さる業界関係者”が、さらに一段とヤバい話を匿名で暴露! なんだか浸透しているユニクロの実態とは?
『ユニクロ帝国の光と影』(文藝春秋)
ユニクロって、少し前までは着てることがバレると恥ずかしいものだった。それを、電通とタッグを組んで、派手なイメージ戦略を仕掛けて、実用的だけど、なんだかおしゃれという感覚を植え付けるのに腐心してきたんです。
例えば同社のCMには、これまで、冨永愛や藤原紀香など100人近い芸能人を起用したり、ニューヨークに出店した際には、当時人気絶頂だった佐藤可士和を店舗のクリエイティブディレクターに起用して、アパレルとしての安心感を演出してきたわけです。
そのかいもあり、多くの人が購入する一大アパレル企業に成長しました。
かつては、ジーンズのポケットにステッチがないものを作って、あえてブランド品ではないような作りにしていましたが、このところはシャツのパターンも増えたし、Tシャツの身頃がピタッとしてたり、アームホールも時流に合わせた細いものも増えてきた。女性用のパンツも、あるジーンズメーカーから人を引き抜いてきたりと、ファッション性を高く見せようとしているのはうかがえますね。
しかし、私たちの業界からすれば、ユニクロをファッション・ブランドと見ることは断じてできません。いわば、台所のスポンジのような、使い捨て品なのです。ユニクロ利用者のほとんどが「1シーズン着られればいい」という言い訳をもって購入しているでしょう? ブランドの愛好者なら「全身コム・デ・ギャルソン!」という人はいますが、「全身ユニクロ!」という人がいても、それは同社の商品にこだわった結果ではないでしょう。それはユニクロの提案に共感しているのではなく、とりあえずの結果。まさに使い捨てである証左でしょう。
その上、デザインやファッションの歴史に対するリスペクトが全く感じられないのも問題です。業界では有名な話ですが、例えば、ユニクロの大ヒット商品の中にダウンがありますが、あれはパタゴニアがダウンセーターとして超軽量ダウンを発売したものの模倣品。また、現在でも冬のヒット商品となっているヒートテックも、もともとミズノが売っていたブレスサーモを、商社に競争原理を持ちかけて、企業努力によって安価に作らせた。そうして他社の優秀な製品を作り、安価で売りさばくことによって、さも自分たちがオリジナルかのように売っているんです。
アニメのキャラクターや、アンディー・ウォーホルなどを大胆に起用したTシャツも、まともなファッション・ブランドなら恥ずかしくてできないこと。それをやったから売れたわけです。
もちろんリーマン・ショックなど、時代の要請もあったと思いますが、こうした洋服のパクリとデフレ化をファッションの市場に持ち込んだ結果、多くのブランドが同じような大量生産・大量消費の洋服を作らざるを得なくなった。そうしてファッション業界では似たようなものばかり作られるようになったという現実があります。これによりユニクロも次にパクる商品がなくなって、結局自分たちのクビを絞めているようにも見えますね。
(構成/編集部)