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連載
佐々木俊尚の「ITインサイド・レポート」 第54回

アマゾン「キンドル」から見えてくる、コンテンツとプラットフォームの新関係

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進化の歩みを止めないIT業界。日々新しい情報が世間を賑わしてはいても、そのニュースの裏にある真の状況まで見通すのは、なかなか難しいものである――。業界を知り尽くしたジャーナリストの目から、最先端IT事情を深読み・裏読み!

2012.10.25 キンドル・ペーパーホワイトとキンドル・ファイアシリーズの予約販売と、キンドルストアが同時にスタート。これでようやく日本でも、電子書籍をめぐる議論がまた一段階進むはずだ。

 関係者やユーザーたちが首を長くして待っていた「キンドル」が、ついに日本でもサービスを開始した。今回の本連載では、そのハードとしての性能ではなく、アマゾンが作り上げようとしている新たなビジネス形態について考察してみたい。インターネット時代のビジネスモデルが、今再び変わろうとしている──。

 日本でついにアマゾンの電子書籍「キンドル」がスタートした。ネットメディアなどでは「購入するならキンドル・ペーパーホワイト」「いや、キンドル・ファイアのほうが使い道が広い」と、相変わらず製品にフォーカスした記事が多い。しかしキンドルの本質は、ハードウェアにあるのではない。最も重要なのは、キンドルストアを中心としたネットワークが見事に作り上げられていることだ。本を購入し、ダウンロードし、読み進めるまでが、流麗な川の流れのように見事に決まっているのである。

 例えば何かの書籍をAmazon.co.jpで検索してみよう。書籍ページに行くと、紙の新刊本で購入するか、中古本をマーケットプレイスで注文するのか、あるいはキンドルストアで電子書籍として購入するか、その場で選ぶことができる。紙の本と電子書籍が同じページに並んでいる。日本最大のオンライン書店が同時に電子書籍を売るということのメリットが、存分に生かされている。

 そして電子書籍は、購入すればその直後にクラウド上の本棚へ収められている。そこからパソコンでもスマホでもタブレットでも、自分の好きな機器にダウンロードしてどこででも読めるのだ。このシンプルで優れたユーザーインタフェイスに、日本のほかの電子書籍プラットフォームはまったく追いついていない。キンドルストアが日本にやってきたというのは、例えばガラケーしか存在しない携帯電話市場に、突然最先端のiPhone5が上陸してきたぐらいのインパクトがある。あっという間に他社がかすんでしまい、もう以前には戻れなくなるということだ。

 この完成度の高いネットワークを作り上げたアマゾンは、今後どこに向かおうとしているのか。

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