サイゾーpremium  > 特集  > IT  > 良好すぎるソフトバンクCMの【費用対効果】

──広くお茶の間に知られるところとなったソフトバンクのCM。さぞかし莫大なお金をかけて投下されている……と思いきや、実はここ数年、広告費はドコモやauよりもお安い計算になっていた。費用対効果バツグンの広告戦略の陰にもやはり、同社の特徴であるトップダウンの力が働いていた──。

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『有力企業の広告宣伝費』 2011年版(日経広告研究所)より作成。単位は億円。04年度、05年度のソフトバンクモバイル社はボーダフォンのこと。ソフトバンクモバイルについては、06年度から07年度の落ち込みが目立つが、これは前年まで広告宣伝費に含めていた販促費を分けたことに起因している。つまり、モバイル事業参入当初から、実際の広告宣伝費はかなり抑えめだったと推測できる。過去には批判を受けて放映を取りやめたCMもあったが、これなら損害額も少なめだったのだろうか。

 2011年12月、民間シンクタンク・CM総合研究所が、同年のCM好感度ランキングを発表。ソフトバンクモバイルがライバル・NTTドコモ(3位)とau(4位)を抑えて、5年連続の第1位に輝いた。その立役者はなんといっても「白戸家」シリーズ。お父さん犬を中心としたあの家族が、お茶の間にお目見えしたのは07年。白戸家登場と共に、ソフトバンクはCM界の王者に君臨することとなった計算だ。

 当然、この好感度に比例して巷の白戸家人気も高く、あるソフトバンク社員によると、昨冬、のりかえ割(他キャリアからソフトバンクモバイルに乗り換えると最大15カ月の基本使用料が無料になるプラン)契約者全員に「お父さん湯のみ」を配布するキャンペーンを展開したところ、ショップによっては湯のみが品薄になる事態になったという。また、販売店・代理店向けにソフトバンクが運営するキャンペーングッズの卸サイト「ホークスノベルティーセンター」では「お父さんプチタオル」と「お父さんお弁当箱」が常に品薄状態であることが見てとれる。CMで見たグッズ目当てに販売店を訪れるユーザーは、意外なくらい多いと販売の現場に立つ社員は言う。

 ブラッド・ピットやキャメロン・ディアスなどのハリウッドスターをキャスティングし、スパイク・ジョーンズやデヴィッド・フィンチャーら個性派映画監督を起用するなど(ページ下ボックス内参照)、06年のサービス開始当初より、ソフトバンクモバイルには「CM戦略のうまい会社」「おもしろいCMを作る会社」というイメージが業界内外にあったはずだ。そのイメージ通り、白戸家シリーズ(07年6月~)、SMAPシリーズ(09年8月~)と、打ち出すCMは常に話題になっている。

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