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人形に好かれた男!?

「人形を愛している女をどう振り向かせるか?」 俳優・ ARATA が挑んだ12年目の即興

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(撮影/有高唯之)

「脚本をもらった時、どう受け止めたらいいか悩みましたね。変な言い方だけど、なんか……運命なのかなって」

 1999年公開作品『ワンダフルライフ』でのデビュー以来、数多くの日本映画でイノセントな存在感を示してきたARATA。最新作『トルソ』は『ワンダフルライフ』をはじめ、是枝裕和作品の撮影を務めてきたカメラマン・山崎裕による初監督作品である。

「僕の中で山崎さんは、いつも是枝さんの横にいて、僕の芝居を切り取ってくれる人。その山崎さんから今回のお話を頂いたのと、是枝さんの『空気人形』のお話を頂いたのがほぼ同時期だったんです。どちらの作品も"人形"を題材にした物語だったので、『これは僕に与えられた何かのテーマなのか?』って、自分の中で咀嚼するまで時間がかかりました」

 torso。手足も頭部もない、胴体だけの白いマネキン。渡辺真起子演じる主人公のヒロコは、合コンの誘いにも応じず、休日は「AERA」を読みふける30代OL。生身の男には興味を示さない彼女は、暗い部屋の中で、誰もいない浜辺で、ひたすら人形との性愛に溺れる。マネキンを代替物ですらなく、まるで恋人そのものだというように。

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