マッカーサーと昭和天皇(4)

散歩する昭和天皇と娘の孝宮。(サン・ニュース・フォトス/1945年/著者蔵)

 日本人に敗戦の事実を突きつけ、その屈辱を刻印したとされるマッカーサーと昭和天皇の会見写真は、3枚撮影された中の1枚であった。これまで緊張した昭和天皇が直立不動でマッカーサーの隣で写っているとされてきたが、3枚を連続で見直してみると、姿勢や表情を微妙に変えているのは昭和天皇のほうで、マッカーサーは腰に手をやり、足を開いたまま姿勢を変えていないことがわかる。このことから、勝者の立場にあったマッカーサーもまた、昭和天皇と同じく緊張してカメラの前に立っていたのではないか、という疑問が浮上してくる。しかし、たとえそうであったとしても、この写真の衝撃が大きく減じるわけではない。なぜなら、彼らの姿勢よりもその位置関係こそが、会見写真のもっとも重要な要素であったかもしれないからだ。

 天皇と皇后の御真影の「奉掲(ほうけい)」の際には、天皇が向かって左側に、皇后が右側に位置するのが慣習であった。天皇と皇后の公式写真においてもこの位置関係は同じで、皇室では現在でもこの慣習は守られている。

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