[ドキュメンタリー編1]放送困難なドキュメント──映画監督・森達也が選ぶ放送禁止の社会派作品

森達也氏の近著『誰が誰に何
を言ってるの?』

──ドキュメンタリーの本質を知り尽くした森達也が、テレビとは相容れない「作家性」が前面に出た秀作たちをセレクトする。

 テレビというメディアは市場原理にさらされたことの帰結として、常にわかりやすく刺激的な情報を提供するようになってしまった。このわかりやすさはドキュメンタリーというジャンルとは相容れない。視聴者は、継続的な刺激を求めます。わかりづらさや複雑さは拒絶します。そんな視聴環境で、ドキュメンタリーは機能できない。だから、「テレビでは放送できない社会派作品」とのお題の意味は、「テーマが社会派過ぎてタブーなどに触れるから軟派なテレビでは放送できない作品」ということなのだろうけれど、それ以前にテレビでドキュメンタリーは、良質であればあるほど、放送が難しくなっています。まずはそれを前提に置いてください。もちろん不可能ではないです。がんばっているテレビドキュメンタリストも大勢います。ただし、難しいということ、そして日々その難しさのハードルが上がっているということは間違いないでしょうね。

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