――昨今、多くの新宗教団体が、高齢化などによって信者数を減らしている。このご時世、新宗教に救済を求める者は少なくなったということだろう。一方で多くの得票が見込める、いわゆる票田としての教団が衰退することで、アコギな政治家たちは困っているのではないか?
『「新宗教」興亡史』(別冊宝島 2523)
今、新宗教団体がどこも存亡の危機に立たされている。
文化庁が発行する『宗教年鑑』によると、教祖祭PL花火芸術で有名なパーフェクト リバティー教団(以下、PL)は1990年に180万人いた信者数が、2017年には81万人と、27年間で100万人近くも減っており、また、立正佼成会も同時期に633万人から272万人に減少しており、半減どころの騒ぎではない。
教団の名前はあまり知られていないかもしれないが、立正佼成会は幸福の科学の1100万人(公称)、創価学会の827万世帯(公称)に次いで、日本で3番目の信者数を誇る団体。そんな教団でも、ここまで数を減らしているのだ。
もっとも、PLと立正佼成会に限らず、どこの教団も同じように信者数が減少しているが、そのせいもあってか、最近は教団内部でのトラブルも増えてきているという。ジャーナリストの山田直樹氏は、こう語る。
「熱海にあるMOA美術館で有名な世界救世教は、昨年から分裂状態です。世界救世教は包括法人(ホールディングス)で、世界救世教いづのめ教団、東方之光、主之光教団という3つの被包括教団がぶら下がる形で構成されていますが、17年に教主の岡田陽一が『キリスト教関係者に洗脳されている』と騒ぎになってから、まず一番信者数が少ない主之光教団が追い出されました。残りの2教団が取り回していますが、根本的な路線の相違があり、いづのめ教団の一部が主之光教団と組んだりして、混乱を極めています。
また、PLもカネをめぐるトラブルが絶えません。最近も、前身のひとのみち教団時代に教祖の御木徳一が得度した、四国の有名寺の住職で全日本仏教会の副会長も務めた人物が、『オレはPLの4代目に就任する』と吹聴して、周囲から1億5000万円のカネを騙し取った詐欺で大阪地検特捜部に逮捕され、5月7日に懲役6年の実刑判決が下りました。さらに、PLは悟加富という宗教債券を信者に募っています。教団財政の生命線ともいえるものですが、中身は5~10年スパンで教団に万単位の金を預け、無利子で信者に返済するシステムです。しかし、償還期限が来ても、『返せないので、もうちょっと待ってほしい』とか『額の追加や付け替え』を教団幹部から求められるケースが出始めている」