サイゾーpremium  > 特集  > 宗教  > 【実録コミック】が描く“宗教2世”

――今年2月、ウェブで連載中だったコミックエッセイ『「神様」のいる家で育ちました〜宗教2世な私たち〜』が公開停止になり、波紋を呼んだ。近年、コミックエッセイの世界では、宗教をテーマにした作品が増えている。そこには何が描かれているのか。ジャンルならではの背景と合わせて、その世界をのぞいてみよう。

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ほのぼのトーンとシビアな内容のギャップ
【1】『カルト村で生まれました。』
著者:高田かや/刊行:文藝春秋/発行年月:2016年2月

親子が別々に暮らし、子どもでも農作業に従事しなければならないという特殊な環境で育った幼少期を、文字まですべて手書きの温かなタッチで描く。子どもながら感じていた理不尽さと、子どもらしい感情の動きが同居しているのが特徴的。


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「エホバの証人」2世の日常と苦しみ
【2】『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』
著者:いしいさや/刊行:講談社/発行年月:2017年12月

エホバの証人を信仰する母に育てられた作者が、その経験をつづった作品。多くの人が目にした経験のある表題の光景の裏で、連れられた子どもがどんな思いをしていたかを描いたシーンは些細だが読む者の胸に突き刺さる。


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息子の病気をきっかけに脱会するまで
【3】『カルト宗教信じてました。』
著者:たもさん/刊行:彩図社/発行年月:2018年5月

小学校高学年で母親がエホバの証人に入信し、自身も信仰を持つようになった作者が、長じて子どもを持ってから疑念を抱いて脱会するまでの物語。作者はあとがきで「子どもたちだけには、信じない自由を与えてあげてほしい」と説く。


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おめめキラキラ“ママ”のカラクリ
【4】『ママの推しは教祖様~家族が新興宗教にハマってハチャメチャになったお話~』
著者:しまだ/KADOKAWA/発行年月:2018年4月

作者=主人公は二次元のオタクであり、母親の宗教活動=推し活と置き換えて理解しようとするなどギャグタッチで描かれている。徐々に笑いに置き換えられないほどになっていく“ママ”の様子を冷静に見つめる主人公の目線が苦しい。


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自身が望んで入信した当事者
【5】『カルトの思い出 僕はカルト信者だった』
著者:手持望/刊行:KADOKAWA/発行年月:2014年8月

終末思想がはやった1990年代、思春期だった作者はオカルト雑誌の記事をきっかけに、とある宗教団体に入信する。これで強い自分になれると信じていたが、パワーストーンなどを高額で売る霊感商法に疑問を抱くように。脱退後、怯えと反省を抱えながらも、生きる苦しみと喜びに正面から向かい合う姿が心に残る。


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