サイゾーpremium  > 連載  > 稲田豊史の「オトメゴコロ乱読修行」  > オトメゴコロ乱読修行【72】/ザ・スーサイド・スクワッド

――サブカルを中心に社会問題までを幅広く分析するライター・稲田豊史が、映画、小説、マンガ、アニメなどフィクションをテキストに、超絶難解な乙女心を分析。

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『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』公式サイトより。

先頃公開された『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』がファッキン大傑作だった。底抜けに陽気、不謹慎なゴア描写が容赦ないアメコミ映画。いや何がいいって、ハーレイ・クインというサイコパス女性キャラクターが過去最高にカッコよく描かれていたのだ。

ハーレイ・クインはバットマンの宿敵であるジョーカーの恋人、いわゆるスーパーヴィラン(アメコミ世界における悪役)だ。もともとは精神科医だったが、患者だったジョーカーと恋に落ち、忠誠の証しとして化学薬品のタンクに身投げして肌が白くなった。有り体に言うなら「凶暴で頭のネジが外れた好戦的なセクシー姉ちゃん」である。

そのハーレイは、同じ世界観上にあるDCコミックス原作映画に過去2回登場している。『スーサイド・スクワッド』(16年)と『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』(20年)だ。キャラクターの基本設定も演じる女優(マーゴット・ロビー)も3作共通。なのになぜ、今作のハーレイだけが際立って魅力的だったのか。

本作だけがハーレイを「女子」として描かなかったからだ。

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