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第1特集
ヤクザ映画は人生の縮図である【1】

ヤクザ映画は人生の縮図である――裏社会の狂気を音で表現する“劇伴”作曲家たちの制作秘話

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――映画やドラマに必須となる「音楽」。主題歌や挿入歌など、ボーカルの入った楽曲が物語を盛り上げるのは当然のこと――だが、本稿では、あえてボーカルの入っていない“劇伴(映画やドラマなどで流れる伴奏音楽)”に着目してみたい。果たして、裏社会を描いた物語の劇伴には、どんな特徴があるのだろうか?

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(写真/有高唯之)

 裏社会を描いた映画でもっともポピュラーな劇伴(劇中で流れる伴奏音楽)といったら、『仁義なき戦い』のメインテーマを思い浮かべる人は多いだろう。あの特徴的かつ耳に残る劇伴は、映画『仁義なき戦い』の枠を越え、例えばバラエティ番組にコワモテのゲストが出演したり、ドッキリ番組でヤクザ風のキャラに絡まれたりするシーンなどでも有効活用されている。つまり、裏社会をテーマとした映画やドラマの劇伴には「恐怖におののくサウンド」や「息を呑むほどの緊迫したサウンド」、果てには「生死をかけた闘争的なサウンド」など、物語を際立たせる音が必須となってくるわけだが、その制作の裏側とはどのようなものなのか。裏社会サウンドの調べを、早速紐解いていきたい。

 まず、横浜市で子どもたちのためにピアノ教室を開く「ヒビキピアノ」の代表講師を務める前山宏彰氏に話を聞く。同ピアノ教室での取材となったわけだが、室内は純真無垢な子どもたちが行き来する。笑顔で応じる前山氏だが、生徒たちは先生が『裏社会の男たち』や『二代目はニューハーフ』、『組長強奪計画』など数々のVシネマの音楽監修を担当していることは知っているのだろうか?

「01年からピアノ教室の代表を務めているんですが、ピアノの調律や修理の仕事も並行していたんです。そんななか裏社会を描いた映画の劇伴を担当することになったのは、調律で伺った家の方が映画関係の方だったからなんですね。そこから監督や出演者の方に伝わって、音楽監修の仕事を始めることになりました。

 ピアノは一般的に“堅いイメージ”がありますよね。僕は音楽は自由なものだと思ってますし、『ピアノ教室の代表講師がヤクザ映画の音楽を担当している』というのは、逆に教室としての魅力にもなるんじゃないかと思い、プロフィールにも隠さず経歴として掲載しています。親御さんたちは僕の音楽活動の幅を理解した上で、お子さんを通わせてくれているので、特に苦情などもありませんね」

「もともと劇伴の制作に興味があったので、音楽監修の仕事はとても有意義」と続ける前山氏に、劇伴の制作スタイルについて聞いた。

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