サイゾーpremium  > 特集  > 本・マンガ  > 【アジア移民文学】に見る差別の現実

――今、アメリカで『PACHINKO』なるタイトルの小説がベストセラーになっている。在日朝鮮人一族を描いた同作は、差別や移民に対する風当たりを浮き彫りにしているが、そのほかにも、アジア移民をテーマにした作品は多い。それらの書籍は、一体何を訴えかけているのだろうか?

1907_immigrant_200.jpg
『よい移民: 現代イギリスを生きる21人の物語』(創元社)

 大阪や横浜を舞台に、ある在日朝鮮人の一族の歴史を描き、アメリカで最も権威のある賞のひとつ「全米図書賞」にノミネート。2018年に全米のベストセラーランキングを賑わせた小説がある。そのタイトルは『PACHINKO』【1】。あのパチンコである。著者は、韓国のソウルで生まれ、幼い頃にアメリカに移住したミン・イン・リー。

 英語で書かれたこの小説には、日韓併合から第二次大戦、朝鮮戦争といった激動の時代のドラマを通して、済州島から日本に移住した在日一世から三世までの生活や意識の移り変わりと、世代間の葛藤が描かれている。タイトルにもなっているパチンコは、主人公のひとりである在日二世の“職場”として登場する。日本社会で差別を受け、堅気の会社に就職できなかった在日朝鮮人たちは、パチンコ屋や焼肉屋といった商売に生業を求め、中にはヤクザの世界に生きる道を求めた者もいた。『PACHINKO』のストーリーには、そんな移民と差別の歴史も刻まれている。

『PACHINKO』は文藝春秋より、早ければ今年中にも邦訳が刊行されるとのことだが、アメリカの文学界では、これまで移民を扱ったさまざまな作品が生まれてきた。多民族国家であるアメリカでは、アジア系の移民が自らの家族の歴史をモチーフに書いた作品も多い。いわば旧来の白人層が主な支持層となった、トランプ政権下で移民の流入に対する制限が強まる中、むしろこれらの移民文学の社会的重要性は増しているともいえる。

 そして、移民の歴史が、差別の歴史でもあったことから、移民の文学は、そのテーマの中に、差別についての内容を必然的に含んでいる。本稿では主にアジア系移民を中心に、差別というキーワードで読み解ける本を紹介していきたい。

移民の子孫が描く彼らの苦難の歴史

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2019年8月号

中韓エンタメ(禁)大全

中韓エンタメ(禁)大全

韓国人気モデル「ジェナ」日本初セクシー

韓国人気モデル「ジェナ」日本初セクシー
    • 【ジェナ】韓国の美モデル参上

インタビュー

連載

    • 【小倉優香】韓国の友達が多いんです。
    • 【日向カリーナ】ブラジル系モデルの古風な一面
    • 愛しさと、切なさと、【熊田曜子と】
    • スマホとSNS以降の【ネットの未来】
    • 【安藤寿康】人間は"教育"によって生かされている(前)
    • 高須基仁/【反社】との交際くらいで騒ぐな!
    • 己の殻を破る【ギャル】が祭に集う
    • 中国【ファッションアプリ】の裏事情
    • 【Lil Nas X】栄光と挫折と突然の告白
    • 町山智浩/【トム・オブ・フィンランド】ゲイ・カルチャーの革命家
    • 医師と大手メディアと【製薬会社】の利益相反
    • 小原真史の「写真時評」
    • 五所純子「ドラッグ・フェミニズム」
    • 笹 公人「念力事報」/闇営業物語
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ博物館」
    • 稲田豊史/『ホットギミック』"鈍い女"がモテる理由
    • LAのDJが懐古する【90年代のクラブシーン】
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 【都市計画】のスペシャリストがビールで街を盛り上げる!
    • 幽霊、殺されても咎人となるニート。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』