サイゾーpremium  > 特集  > 社会問題  > 女性たちを惑わす【化粧品】の情報戦

――インバウンドの恩恵もあり、今デパートのコスメ売り場が大盛況の様相を呈している。一方で、ツイッターでは安価なドラッグストアコスメが定期的にバズる。高いほうがいいの? 安いものでもいいものはある? 日夜、コスメを追い求める女性たちの情報戦を追った。

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化粧品もテクノロジーの時代へ。ポーラが展開する「アペックス」では、業界初の「肌全層分析」を用いたパーソナライズなスキンケアを提唱。コスメ情弱を救う一手になるかも。

 本来、“情弱”か否かに性別は関係ない。だが、性別の違いによって情弱に見えるものといえば、化粧品関連ではないだろうか。男性読者諸兄からすれば、数万円する化粧水や美容液を揃えたり、シーズンごとに新作コスメを買ったりする女性たちの消費は、「成分はだいたい一緒なんじゃないの?」「どれも同じ色じゃん?」「ほとんどパッケージ代でしょ?」と、バカバカしく見えているかもしれない。

 これは女性の間でも意見が分かれる問題だ。「高ければいいというものではない」VS「高級な化粧品のほうが効果は高い」という議論が、ツイッターなどで時折巻き起こる。また、デパコス(デパートコスメ。百貨店のコスメカウンターで販売されているコスメ全般を指す)とプチプラコスメの成分表を比べて、「この商品とあの商品は成分がほぼ一緒」といった話題も出がちだ(記事下段参照)。

 どのジャンルであれ、“情強”というのはつまり、「広告やブランドイメージに騙されず、コストパフォーマンスが良いモノを買う」という消費行動ができる人だろう。確かにそれでいくと、化粧品でいえば、プチプラやドラコス(ドラッグストア・コスメ)を上手に活用することを指すように思える。

 だが本当にそうだろうか? そもそも化粧品への没入度は、女性の中でもかなり個人差がある。「最低限のケアができればOK」派や「プチプラで機能が高いものがベスト」派は、まさに前述の情強に当たる。一方で、「高い商品のほうがそれに見合った効果がある」派もいるし、「コスメ(あるいは特定のブランド)そのものが好きなコスメオタク」派なども存在する。後者は“情弱”なのだろうか? 美をめぐる、女性たちの情報の海の泳ぎ方を垣間見てみよう。

 まず、このジャンルの難しさは、“正しい情報源”のつかみにくさにある。少し前までは、美容に関する情報を積極的に手に入れようと思ったら、とりあえず手に取るのは美容雑誌だった。だが今は違う。

「美容雑誌は軒並み部数を落としています。これから休刊する雑誌も出てくるでしょう。その理由は、他ジャンルと同様にネットの台頭です。ただし、ネットで情報を得る人が単純に増えたというだけでなく、SNSを頼る人が増えたせいで、『美容雑誌に載っている情報はほとんどが広告だから信用できない』という認識も同時に広がったのが大きいと思われます」(コスメライター)

「広告は信用できない」――これは、まさに莫大な広告費を使って宣伝することで売り上げを伸ばしてきた化粧品メーカーにとっては手痛い反応だ。化粧品に限らず、「広告に騙されたくない=情弱になりたくない」という消費者側の意識は、ネットの普及以降、顕著になってきた。

 そこに台頭したのが、化粧品のユーザーレビュー型サイト「アットコスメ」だ。一時期は「アットコスメのカテゴリ1位を獲れば売れる」と言われていた。だが、あまりにその影響力が強まった結果、登録ユーザーに商品サンプルを送ってアットコスメに投稿してもらうサービス代行業者などが登場し、「サクラが多い」と不評を招くようになる。いまや一時期ほどの信頼性はないと言っていいだろう。

 そして現在は、完全に“素人の時代”だ。ツイッターやインスタグラムでは「美容アカ」、YouTuberなら「美容系」と呼ばれる個人が、インフルエンサーとして活躍している。彼女らがおすすめしてバズった商品は即日店頭から消え、ドラッグストアの店員も、そうしたアカウントの情報を参考に発注をかけているという。彼女たちが信頼されるのは、モデルやメイクアップアーティストとは異なり、素人目線で「実際に使ってみて良かったものを勧めてくれる」という理由による。つまり、売らんがための広告ではないことが信用を担保しているのだ。だがもちろん、その中にはいわゆるステマも入り込んでいる。代償として、バレたときの炎上は、より大きくなる。インフルエンサー同士の潰し合いなのか、「○○はステマをやっている」といった告発が行われることも少なくない。

 つまり、“情強”になろうと調べれば調べるほどに、「何を信じたらいいのかわからない」状態に陥ってしまうジャンル、それが化粧品なのだ。真実には、どうすればたどり着けるのか――。以下、化粧品開発の当事者やプロのヘアメイクの証言から検証してみたい。

ドラコスと高級化粧品、その差は“信頼”にアリ

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