サイゾーpremium  > 特集  > 社会問題  > 【カニエ・ウエスト】は情弱か?天才か?

――今やヒップホップ・シーンのみならず、セレブリティ界隈でも一挙手一投足が話題になる、ご存じカニエ・ウェスト。音楽プロデューサーからキャリアをスタートさせ、ラッパーとしてデビューした彼の言動を振り返りながら、果たして「天才」なのか「情弱」なのかを徹底分析!

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(絵/川崎タカオ)

「400年間、奴隷だったって言われてるけど……400年だよ。自ら選択したんじゃないかな。そんな状態のままで400年、みんなそろってだよ。それって精神的に監獄に入ってるのと同じだよね」 ――この黒人奴隷制度に関するカニエ・ウェストの発言が、たちまち世界中を駆けめぐったのは2018年4月のこと。いくらなんでも、自分から好き好んで奴隷を選ぶ人間がどこにいるというのか。カニエは頭がおかしくなってしまったのか……等々、すぐさま世界中から多くの非難を浴びたのは記憶に新しい。

 これだけでも十分に問題発言である。だが、この発言に文脈を与えてしまうような前段があり、彼は数日前のツイッターで次のようにツイートしていた。

「あなたたちがトランプに同意する必要はない。ただ、みんなからどんなに責められても、私のトランプへの好意は消えない。私たちは2人ともドラゴン・エナジー。彼は自分にとっての兄弟分。みんなのことは好きだ。自分は誰かの行動すべてに同意はしない。それでこそ個人というものが成り立つわけだから。それに各々の考えを持つ権利が、我々にはある」

 この“ドラゴン・エナジー”とは、創造や力のエキスのことである。それ以上にわかりやすいのは、ツイートと一緒にトランプのモットー「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」(アメリカ合衆国を再び偉大な国にしよう)の文言入りの赤いキャップ(通称「MAGAハット」)をかぶった自撮りが含まれていたことだろう。これらの言動がつながっているとしたら、「カニエはトランプ支持者なのか。だから奴隷制度は奴隷側が間違っているみたいなこと言ってるのか!」という理解が世の中に広まってもおかしくない。

 さらにさかのぼれば、16年11月にカリフォルニア州サンノゼで行われたライブでは、ステージから「自分は投票しなかったけど、していたとしたら、ドナルド・トランプに投票していただろう」と語りかけ、その翌月にはトランプ・タワーを訪れ、2人は15分にわたり会談したのだった。これらからわかるのは、カニエはメインストリームで活躍中の彼以外の多くのラップ・アーティストとは異なり、トランプ大統領にまったく嫌悪を抱いていないことだ。19年現在、多くの人がカニエ・ウェストに対して抱くイメージは、「エゴの強い、ナルシシスティックなセレブ」というものだろう。言うまでもなく、トランプは大統領になる前からセレブだった。そんな世界が認めるセレブでもあるカニエだが、無名時代から今とまるっきり同じだった、というわけではない。彼が最初に音楽業界と接点を持ったのは、音楽プロデューサーとしてだ。簡単に彼の音楽キャリアをおさらいしておこう。

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