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「ファンキー・ホモ・サピエンス」【65】

【Zapp】ロボット声の魔力はオハイオからカリフォルニアへ

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『Zapp VII: Roger & Friends』

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Zapp(販売元:Leopard)

もはや、作るほうも聴くほうも焼き直しを恐れてはいられない。タキシードが参加した先行曲「Shy」は、まさに焼き直し佳曲。スヌープからブーツィまで、他曲もフィーチャリング大会と化しているのはやむなしか。そしてパーラメントの新作にも感じたが……ジャケットにはもう少し気を遣ってくれ。

 なぜかアメリカン・フットボール映画が好きな私。特に、刑務所アメフト映画の傑作である『ロンゲスト・ヤード』(05年度版)の試写会場で、最初で最後のナマ水野晴郎を目撃したことは忘れられない……が、今回はアル・パチーノ(古株コーチ役)とキャメロン・ディアス(球団の新オーナー役)の対立が軸となる99年作『エニイ・ギブン・サンデー』の話で始める。

 同作で印象的なのは、架空のNFLチーム〈マイアミ・シャークス〉のサウナ施設。ジェイミー・フォックスやLL・クール・Jら、チームの黒人メンバーが汗を流す、その空間で鳴り響いているのは……ザップの「More Bounce To The Ounce」なのだ。

 先ごろ17年ぶりの新作をリリースしたザップは、オハイオ州デイトンを拠点とするファンク・バンドである。直近の来日公演はビルボードライブで、18年夏だったっけ。……以上の要素だけ聞くと、幾多いる古参ファンク・バンドのひとつと思えるかもしれない。だがザップは、ジョージ・クリントン率いるパーラメント・ファンカデリックと同レベルの――あるいは彼ら以上の――影響を後世のヒップホップに与えた存在なのだ。

 彼らの特徴は、なんといってもトークボックスの多用である。トークボックスとは、人間に楽器音のような声を授けてくれる装置。いや、むしろ「ロボットが歌っているかのような声」と形容すべきだろうか。

 しかし! ミーゴスやPerfumeみたいなものと思ってはいけない! いや、結果はたいして変わらないかもしれないが、その音を出すまでの過程が全然違う! というか、正反対なのである。

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