――見られ・選ばれ・生きてゆく?"イケメン"から見える現代社会
30代の男がどう年をとっていくか、それは俳優も無縁ではない。
富田翔さんのインタビューも最終回。30代半ばを控えた心境は?
――現在、お仕事は多いですが、その理由ってなんだと思いますか?
富田 小劇場で何が起こっても対応できる力がついて、それがほかの現場でも通用したのかな、と思います。
――今、ファンの方にどういう評価をしてもらうことがうれしいですか?
富田 自分が意図してやった芝居を、その通りに読んでくれたりするとうれしいと思います。たまに、本当に咳をしただけだったのに「あれはきっとこういう意味が…」とか言われることもありましたが(笑)。
――このお仕事をする中で、自らが何か企てていることはありますか?
富田 自分たちで「くだらないことを真剣に」をテーマに、見てくださる方にただ楽しんでいただけるようなパフォーマンスユニット「撃弾ハンサム」を立ち上げました。今はネットもあるし、俳優も自ら仕掛けていける時代になったと思うんです。僕らのような俳優がずっと仕事をしていくためにはどうすればいいかを考えています。
――今、「イケメン俳優」とくくられることについてはどう思いますか?
富田 全然大丈夫です。「だってイケメン俳優なんだもの」と開き直ってますし(笑)、それで注目されるのもうれしい。本当は、周囲にどんどん出てくるカッコイイ俳優さんを見ると、こういう人こそがイケメン俳優だなって思うんですけど、いつか「どうも、イケメン俳優です」って言ったら笑いが起こるくらいまで頑張ってみてもいいかなと思ってるんです。
富田翔(とみた・しょう)
1982年、東京都生まれ。02年『ごくせん』でデビュー。近年は映画・舞台を中心に活躍中。書道家の家に生まれ、書道デザイナーとしても活動。15年4月3~12日、舞台『白狐丸外伝「散れ桜よ、刻天ノ証ニ」』あうるすぽっと(池袋)公演予定。
西森路代(にしもり・みちよ)
1972年、愛媛県生まれ。フリーライター。アジア系エンタメや女性と消費に関するテーマなどを執筆。著書に『Kポップがアジアを制覇する』(原書房)、『女子会2.0』(共著/NHK出版)など。