サイゾーpremium  > 特集  > タブー  > 【アイドル衣装】タブー破りの歴史を追う

――アイドルを形作るものは歌やダンスだけではない。彼女たちの着用する衣装こそ、アイドルとしてのアイデンティティをより強固にするアイテムなのだ!時代によって移り変わってきたアイドル像とその衣装の変遷を下記チャート図でおさらいしつつ、被服がもたらすアイドル文化の進化と深化を追う!

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これがアイドル衣装の変遷だ!↑画像をクリックすると拡大します。

 AKB48がヒットチャートを駆け上がると同時に、女性アイドル界で"制服風衣装"がスタンダードになったように、アイドルの衣装にもはやりすたりがある。ここでは、ファッションとしての女性アイドルの衣装について考えてみよう。

 そもそもアイドルにとって衣装とは、どのような意味を持つのだろうか? この問いに対して、「一般の女の子との差別化の記号であり、戦場で身を守る鎧のようなもの」と定義するのは、メディア文化やジェンダー論に詳しく、『メディア文化とジェンダーの政治学』(世界思想社)などの著作もある十文字学園女子大学准教授の田中東子氏だ。

「アイドルにとって衣装とは、普通の女の子から"アイドル"に変身するための装いです。彼女たちは衣装というユニフォームをまとうことで初めて"アイドル"となり、『女という性をあからさまに武器にしながら、一般人が簡単に触れることはできない、アンビバレントな存在である』というメッセージを発信しているのです」

 一方でアイドルの衣装は、その時代のアイドルのあり方を反映するように変化を遂げてきた。田中氏は「80年代頃までのアイドル衣装は『男性に見せるためのもの』でしたが、現在では『女性ファンが着たいと思うもの』にもなっています」と指摘する。では、こうした変化には、どういった社会的背景があったのだろうか? 歴代のアイドルの衣装を具体例として挙げながら追っていこう。

 70年代に活躍した"元祖アイドル"桜田淳子や南沙織、天地真理、麻丘めぐみ、そしてピンク・レディーやキャンディーズの時代から、基本的にアイドルは、楽曲やキャラクターに合った衣装を身にまとってきた。そしてそれはそのまま、彼女たちの"性的メッセージ"の反映でもあった。

 当時のジャケット写真を見てみれば、それは一目瞭然だ。無垢で清純なイメージを売りにしていたアイドルたちが身に着けるのはセーラー服や綿の白いワンピースだったし、ステージ衣装は幼女がピアノの発表会で着るような明るい色のふわりとしたドレスだった。一方で、"健康的なエロ"を売りにしていたピンク・レディーは、水着やレオタードに近い衣装で露骨なまでに肌を露出。両者は対照的ではあるが、女性性を前面に押し出すツールという意味では同じ意味を担っていたわけだ。

 80年代になると、松田聖子のブレイクによって、先述の清純派路線こそがアイドルの王道衣装となっていく。肩から袖にレースをあしらったり、段の付いたフリルスカートをはいたりといった、この頃一度完成を見たスタイルは、そのまま現代のアイドルにも継承されているだろう。

 その後、転機となったのは、90年代にアムラーブームを巻き起こした安室奈美恵の登場だ。ここでアイドルの衣装は一度、"清純派"ではないリアルなファッションの流行を創出する起爆剤として機能する。安室がテレビ出演時に身に着けていたサテン生地のシャツやミニスカート、ロングコート、厚底ブーツなどが、シャギーカットや細眉とともに女性の間で流行。96年には「アムラー」が新語・流行語大賞にも入賞した。

 しかし、安室自身が脱アイドル化していくとともに、衣装もまたアーティスト路線へと路線変更されていく。その衣装をファッションに取り入れる"アムラー"の残党はその後も残存したものの、いわゆるアイドル衣装とリアルなファッションとは、いったん離別の道を歩むこととなるのだ。

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