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丸屋九兵衛の音楽時事備忘録「ファンキー・ホモ・サピエンス」【13】

【50セント】――強面ラッパーの商魂は脱力と爆笑の彼方に

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『Animal Ambition』50セント

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(発売元:ホステス・エンタテインメント)
前作から約5年。デビュー以来所属していたインタースコープ・レコーズと決別し、50セント自身がクリエイティブ・コントロールを一手に握ってのアルバムだ。かつて敵対していたラッパー、ジェイダキスらを招いた曲があり、NYヒップホップの域内ビーフ史にひとつの決着がついた感も。秋には次なる新作を発表予定……ホンマに!?

 やしきたかじんの話をしよう。

 今年1月に世を去った彼は、80年代から死の間際まで、地元・関西でおそれられる存在だった。
 
ヤーさんライクな外見に加え、「テレビ番組の生放送中にセットを破壊し、そのまま帰宅」「新聞記者の髪をつかんでジャイアントスイング」など、武勇談には事欠かなかった……が、畏怖を生んだのは、それらの行動ではない。彼のおそろしさは、その話芸にあったのだ。

 本職は歌手なのに、お笑いで芸人に圧勝してしまうトークのパワー。「日本放送演芸大賞」や「上方お笑い大賞」を獲得した実績。それが、しゃべくりを至上のものと見る関西芸能界で持つ重みは、非関西人でも推測できよう。

 極道臭が漂う外見。それを裏付けるような、経歴上の暴力沙汰。それなのに、卓越したお笑いセンス。誰かを連想しないか?

 そう、50セントだ。

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