サイゾーpremium  > 特集  > エンタメ  > 【レーベルPR担当座談会】ゴリ押しの新盟主はアミューズ!?
第1特集
宣伝マンも青息吐息"正直しんどい"メジャーレーベル座談会【1】

【音楽レーベルPR担当座談会】芸能事務所の力で番組にゴリ押し新盟主はアミューズ!?

+お気に入りに追加

――苦境が伝えられる中で、知恵を絞って、足で稼いで、業界を動いて回る音楽会社の宣伝マンが、昨今の業界事情を大暴露! 音楽ファンならずとも気になる裏側とは――?

[座談会参加者]
A:大手レーベル勤務歴8年
B:大手レーベル勤務歴15年
C:中堅レーベル勤務歴10年

1308_az_zadankai.jpg
『誰がJ-POPを救えるか? 』(朝日新聞出版)

A 今回、われわれレコード会社の宣伝マンが集まって、昨今の業界の状況について話をするってことですけど、最近みなさんはどう感じられてますか?

B いやー毎日、テレビや雑誌などのメディアへの売り込みが大変だよ。テレビだろうと雑誌だろうとラジオだろうと、昔みたいにここに載せたら鉄板ってのがないからね。とにかく、CDやDVDの発売に合わせて、ひとつでも多くの媒体に情報を載せるかが重要だからねぇ。

C 昔だったらテレビの歌番組に出たら売り上げが伸びたり、ラジオでパワープッシュされると話題になったりって感じでしたけど、それがもはや全然効かなくなった。ゼロではないけど、その単発のものに頼るよりも、トータルで宣伝を打っていかないと。当然ながら、かつてのなんでも売れてた時代に比べて、より綿密に宣伝戦略が要るようになってきました。

A 本当に、どうやったら当たるかってわかんないんですよね、セオリーがない。不安だからとりあえず、テレビやラジオといったマスメディアにも出すし、ウェブとか雑誌のカルチャーニュースとか細かいとこにも出して。いかに「新譜発売しました! いまキテます!」って雰囲気を作るかにかかってますね。

C そうですね。あと単純に、宣伝予算も厳しくなって、2~3年前までは、音楽サイトのバナーとかガラケーサイトで特集を組んで予算100万円投下、企画によっては200万円なんて予算もぎりぎり出せていたと思うけど、今はSNSが主流になって、フェイスブックに無料で公式ページを作ればファンがどんどん拡散してくれる。だから、わざわざメディアにお金を出すのは馬鹿らしいって感じますね。今なら音楽ニュースサイトのナタリーが売っている特集枠に、広告費を払うのすらもケチりたいというか。

B しかも、ナタリーのバナー枠は値上げしたね。前までは、グロスでいくら、とか交渉次第で多少値引きしてくれたけど、今は一円たりとも譲ってくれない。しかもサイト内にあれだけ特集が乱立してたら、全然目立たないからなぁ。A&R(音楽会社において、アーティストの発掘から楽曲制作、宣伝など、レコード会社の業務全般に責任者として携わる業種)の中には、そもそもいまだにウェブでのプロモーションを意識していなくて「そんなみみっちいことして効果あんの?」みたいな人もいる。

A ナタリーのサイトの横にある特集バナーって、誰がクリックしてんだろう? あそこに出すんだったら、もったいないからサイト上部にある広告枠を買ったほうが、安いですよね。そこからリンク先に、自社で面白いサイトを作って、ユーザーに拡散するほうがいい、という感じはします。

C ナタリーは、音楽好きは見るサイトだけど、一般の人は見てないから、「J-POP」のプロモーションとしては弱い。もちろんロックバンドの宣伝だったら、雑誌「ロッキング・オン」(ロッキング・オン)とナタリーだったら後者に投資するけど、一般の人は、基本的にヤフーとかのポータルサイトしか見てないからね。ヤフー動画とかGyaO!に、PVを流すほうが、効果が高い。良い時だと、2~3日で60~70万ビューくらいはいきますからね。

B ただ、結局どんなにネット上でバズったとしても、それが具体的に配信の売り上げにつながるわけではない。日本は世界の中でもいまだにパッケージが売れてる数少ない国で、配信で音楽を買う文化は、まだまだ浸透してない感じがする。

A それで言うと、ソニーがついにiTunesに配信を開始して、結構売れているらしいですね。

C 音楽配信のプラットフォームではほぼiTunesが勝ってるけど、やっぱり音質が悪かったりはするんですよね。だから高音質にこだわった配信をやるとか、あるいはもうレコード会社がニュースから楽曲の配信まで一貫してやるようなアプリを作るのもアリかと思っています。

A あと、ネットって、ニュース出しにしてもインタビューにしてもそうなんですけど、出てるだけでアーティストが「仕事をしてる感」はあるじゃないですか。もちろんブレイクすることもあるんですよ。ネットでも、アーティストの名前が知られていれば、ユーザーが拡散してくれるので「コレの新曲が出た」とかって情報をユーザーはどこかで目にしてくれるようになるけど、知らない新人だと無効ですよね。だから「どこに出すか」ではなくて「どう出すのか」が肝要。情報はどこにだって出てるから。結局、ネットでユーザーに受ける情報ってゴシップだったりするし。

B そう思うと、ニコ生やツイッターで大暴れしまくったあとに、『アウトデラックス』(フジテレビ系)で、存分に奇行っぷりを発揮した鬼束ちひろは、炎上商法が成功したんじゃない?(笑)

C 鬼束は、もともと本人がキテレツっていうのもあると思うんですけど、こうしたらネットを見てる人たちにウケるっていうのは、テレビ側もプロモーション側も考えてはいると思いますけどね。

B でもやっぱりアーティストがブレイクする可能性を考えれば、まだ音楽というコンテンツの特性とは、テレビが一番親和性が高いんじゃないか。例えば、深夜にやってる『ミュージックドラゴン』(日本テレビ系)っていう番組があるんだけど、ある程度の金銭投下をすれば、キャスティングに突っ込める数少ない民放の番組。いわゆる本人歌唱もあるしね。ただ、やっぱりそこで一発勝負をするわけじゃなくて、そういったプロモーションを重ねていくことによってようやく、耳に慣れてもらうことができるのかな。

C テレビ番組だと、今でも『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)は、音楽業界の中で一番強いと思います。音楽バラエティには出ないけど、B'zとか、Mステなら出るってアーティストも結構いるし、若手バンドとかはジャニーズ目当てで見てる視聴者にPRできますしね。

A ただ、『Mステ』に一回出たってだけじゃ、そんなに売り上げに動きはない。Mステ側も新人を出すのには結構慎重で、急にポッと出っぽい子が出てくる時って、一般にはあまり知られていないけどフェスとかですでに客をたくさん集める子なんですよね。最近だと、SEKAINOOWARIとかMAN WITH A MISSIONとか。現場で人気が温まってから出すと、いい形でブレイクする力が、まだMステにはあると思います。

B 例えばTBSだと、『CDTV』とか『火曜曲!』とかは、ある程度出演させるアーティストが選別される。でも、ベッキーがMCを務める『ライブB♪』は、音事協の影響力が反映される番組なので、音事協関連事務所のアーティストはとりあえずそこに出す、みたいなことができるんだよね。基本的には、新人ばっかりが出てるんだけど、テレビ局側からしたら誰を出しても同じだから、われわれが制作側と親しければ有利になる。

A そういうテレビ業界の事情って、芸能界のことがわかってる事務所の人たちのほうがうまくやれますよね。ユニバーサルがナオト・インティライミをゴリ押しして売ってるってのは例外として、大手レーベルでもできないような強引なプロモーションも、事務所の力があれば実現できる。プロモーターからだと音楽番組系にしかアプローチできないけど、芸能事務所の人だとバラエティやワイドショーにもねじ込めますしね。AKB48メンバーのソロ曲とか、レコード会社各社にばらまかれてるけど、あれの担当になると秋元康サイドからの要求がかなりしんどいし、日頃コツコツテレビやラジオ媒体と関係性を作ってきた自分たちの仕事がむなしくなるくらい、事務所と局のお偉いさんの力関係でニュースにできちゃったりしますよね。

B 今はレーベル経営も変わってきていて、事務所と一体化しているよね。ソニー傘下のあるレーベルは、研音と組んでいた00年くらいの時代が絶頂期だったんだけど、そのつながりを作った方が他社に移籍してから、当時ほどの勢いはなくなった。それ以降ソニーは、ソニー・ミュージックアーティスツ(SMA)という事務所を強化して、マネジメントから原盤権などの確保まで一体となってやるっていうスタイルに移行しつつある。

A 数年前からは、どのレーベルも一体型のスタイルを目指してますよね。エイベックスもそうだし、My little Loverや解散したレミオロメンがいた烏龍舎や山崎まさよしらがいるオーガスタとかも、アーティストのマネジメントをしながら楽曲の権利も持っている。

C そうなるとソニーは、やっぱり企業の規模が大きい分だけ強いですよね。あと、あそこは同じグループにアニメ制作・販売会社のアニプレックスもあるから。いま、アニメとのタイアップは数少ない、手堅く売るためのメソッドですし。その分、ソニー傘下にあるレーベル同士で、タイアップの争奪戦になってそうだけど。

B 逆に、芸能事務所であるアミューズは、08年からレーベルA-Sketchを始動した。それこそflumpoolは、事務所の力を使ってゴリ押ししてた印象。その分、消耗が早くて、もうきつそうだけど。

A でも、あそこは今ONE OK ROCKとかWEAVERとか若いロックバンドをどんどん出して、若い層に支持を受けてますね。ワンオクはメンバーである森進一の息子(ボーカルのTAKA)が、元NEWSのメンバーだったんだけど、脱退したという経緯もあって契約上メディアに出られなかったし、ライブに来ないと素性が見えないというのが強みで、じわじわと売れている。アジアを中心に、海外人気も出てきてるしね。

B 儲けの仕組みが、マネジメント側と音楽会社で違っていて、音楽会社のほうはCDがどんどん売れなくなってきているのに対して、マネジメントはライブの本数・集客が増えて、物販の収入も増えている。売り上げの内訳比率が変わってきたので、メーカーも権利の分け方を変えてほしい、となってきたから、だったら全部一緒にやってしまえばいいじゃん、というのがその理由なんだろうな。

C CDショップもまず本部が商品を購入して支店に配送するセントラルバイイングになっているので、そこにさえ営業すればよくなった。どんどん営業が要らなくなってきますよね。それでも今一番要らなくなったのは、制作だと思いますね。もう制作だけではやってけないので、戦略を考えたりするA&Rという立ち位置になった。要するに音楽制作面でのマネージメントですよね。

A このままCDが売れなくなって、配信中心になっていくと、それでまた楽曲の利益率が変わってくるわけで。CDなら利益は売り上げの40%くらいだったのが、配信だと単価が下がるので、10~20%ほどになってしまう。中間マージンなどコストカットは大手であっても相当厳しいですよ。

C ますますレコード会社の存在意義が問われるよね(苦笑)。いまや新人などには、個別に宣伝担当をつけないんですよ。ディレクターが全部やる。制作の人間が、宣伝回りも含めて全部やるってことなんですけど。

B でもいまだに、昔ながらの金銭感覚でディレクションやプロモーションをしてる人も多いよ。大御所の担当とかだと、地方のライブに行っては現地で大盤振る舞いしたり。うちのA&Rも新人発掘とか言って、売れるかどうかもわからない若い娘にばんばん飯をおごったりしていた。そうすると、採算が見合わない人もいて。

C 昔ながらの新人発掘といえば、この間、久しぶりにすごい話を聞きました。まだ20代のシンガー志望の娘が、大手事務所の名前をちらつかせるプロモーターのマネジメントを受けることになったんだけど、打ち合わせがいつもホテルのロビーで。それで、持ってくるように言われたから、デモ音源を渡そうとすると、「パソコンがホテルの部屋にしかないから行こう」とか、なんとかして部屋に連れ込もうとするんだって。打ち合わせ中、「別のタレントのだれそれは俺が育てた」みたいな話ばかりして、音楽の話とかは一切しない。さすがに頭に来てバックレたらしいです(苦笑)。逃げた翌日に電話がかかってきて「絶対この業界で生きてけないようにつぶしてやる」って脅しをかけてきたと、しらけてましたよ。今日び、そんなに業界全体に権力が行き渡るなら、その娘はとっくにデビューしていたと思うけどね。

A その手の話だと、ビーイングはいまだにプロデューサーが新人を発掘して、二人三脚で育てるっていう古い体質がまかり通っている。所属していた同社を解雇になって昨年AVデビューした、U・Aみたいな例もありますね。彼女は、愛人詐欺をやってクビになったんだけど、そもそもはあそこの役員クラスと愛人関係にあったという話を聞きました。

B ただ、あそこはもはやB'zの専門レーベルだから(笑)。そもそも収益としては、音楽事業じゃなくて、全盛期だった90年代に買い漁った不動産収入がメインらしい。そういえば、鬼束ちひろも駆け出しの頃、現場のディレクターと付き合っていたらしいね。

C もともとその気があったけど、奇行が激しくなったのは、そのディレクターと別れた後からだって話ですね。あとは、今さら言うまでもないけど、エイベックスの松浦勝人社長も、自分が見いだしたアーティストと"恋人"関係にあるし、ザ・芸能界的な下半身のうわさが多い。

A ザ・芸能界的な話だと、関東連合の内幕を書いた『いびつな絆 関東連合の真実』(宝島社)に、音楽会社AのM社長とBプロ幹部の対立騒動とか、ヴィジュアル系バンドGの移籍騒動が載っていましたね。ヤクザが絡んでいたりとか、われわれの地味な日常とあまりにかけ離れてました。

C そこらへんはもう完全に事務所のかたが操る芸能界の領域ですね。

B 移籍といえば、昨年ついに徳間ジャパンからユニバーサルに移籍したPerfume。徳間は、最大手であるユニバーサルに、一番の稼ぎ頭を持っていかれて相当厳しいんじゃない?

C いやそれがアミューズに聞いたところだと、不遇の時代が長くて、切られるかどうかのぎりぎりのラインで契約更新をしてきたので、ブレイクしてからしばらくの間の権利に関する契約内容も、Perfume側がすごく低い条件だったらしいですよ。一般的には、出版権や原盤権も全部、事務所とレーベルで半分ずつだとか。ある意味、一番おいしい時期を味わえたって話ですよね。しかも移籍したあとも、『Perfume Global Compilation LOVE THE WORLD』ってベスト盤だしたり、PV集出したり、なんだかんだで、今年も相当Perfumeで稼いでるみたいですよ。

B それにしても、今の音楽業界の話をしてると、全部がアミューズに行き着く。この間、サザンオールスターズの再始動が発表されたけど、どこも事前にその情報を漏らさなかった。ネットやSNSがはやってるこの時代に、あれだけ情報統制が取れるのはすごいよ。あの会社を見ていれば、音楽業界の動向がわかるかもね!

(構成/黒崎さとし)

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2022年6・7月号

移ろいゆくウクライナ避難者

移ろいゆくウクライナ避難者

NEWS SOURCE

サイゾーパブリシティ