サイゾーpremium  > 特集  > 政治・経済  > 電博グーグルに飲み込まれる? 広告代理店社員座談会
第1特集
ネット広告で死ぬ広告代理店【3】

「コンパでは目立たない……」 レッドオーシャンと化した広告代理店社員座談会

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──前特集までは、IT化の波が押し寄せながらも結局は電博が握る広告業界の現在を追ってきた。では、中で働く社員はこの現状をどう見ているのだろうか?ネット系広告代理店の社員を中心に、業界の周辺にいるプレイヤーに現状を聞いた。

【座談会参加者】
A…中堅広告代理店営業
B…大手ネット専業広告会社アカウント・プランナー
C…中堅ネットメディア社員

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『広告マンの「お仕事」と「正体」がよーくわかる本』(秀和システム)

A アベノミクス効果で広告業界が息を吹き返すとか言われてるけど、現場レベルではまったく関係ない。夏のボーナスの上乗せもないって噂だし、お先真っ暗だよ。

B 経済誌では「ネット業界の成長続く」なんて記事が躍ってるけど、現場の大変さといったら。市場の陣取り合戦に勝つために、競合他社とのコンペ地獄。朝6時に出社して、帰るのが深夜なんて当たり前。たまの息抜きにコンパしたって、広告代理店だって自己紹介しても、ネット系だと一般にはサイバーエージェント(CA)ぐらいしか知名度がないから、オプトだ、GMOだって言っても女子たちはみんなキョトンとしてますよ。「IT系だぁ」なんてまとめられるのが関の山(泣)。

C オプトといえば「電通との業務提携、解消」なんてニュースが飛び交ってますよね?

B 来年4月に向けて、徐々に解消するみたい。要するに、お互いのノウハウを吸収できなかったんでしょう。さて、どうなることやら。

A 広告マンにとって、電通と博報堂はまったく無視できない存在。結局、ネット広告業界の上位にいる企業も、漏れなくどちらかと提携してるよね。DACやGMO、セプテーニは博報堂系、サイバー・コミュニケーションズは電通系みたいに。

B 新しいサービスを持った会社が現れて、売り上げをあげても、結局は電通・博報堂、それからメディア側のグーグルが、金にものを言わせて買収してしまうしね。

C いくらネット広告が成長しても、出稿のほとんどを占めるナショナルクライアントの予算を握るのは、昔から変わらず電博。太刀打ちできるネット専業はなし。それに大型の広告主は、いまだにネットをまったく重視してないから、まずテレビCM、新聞や雑誌の広告予算を決め、余った金をネット広告に分配するんですよ。

A どんなにネット広告の技術が進化しても、結局、メディアの広告枠を握ってる代理店が強いわけ。JR東日本企画にしろ東急エージェンシーにしろ、電鉄系広告会社と呼ばれるところも、駅や電車を媒体にして莫大なバジェットの交通広告を扱えちゃう。電博ADKとその他……二極分化する業界にあって、飯の種があるのは強いよ。

B ネット広告の最新トレンドで「O2O」っていう考え方があって、電鉄系はこれにジャストフィットすると思う。ネット上(オンライン)からネット外の実地(オフライン)での行動へと促す施策のことなんだけど、屋外の広告などを電子化して、ネットワークを組むことができれば、彼らの既得権益が再び盛り返すだろうね。

C 大手広告代理店の幹部に話を聞いても、お決まりのように「ネットの登場で市場が変わり、仕事の仕方そのものを変えてしまった」とか話すけど、「この人、ホントに現場が見えてんの?」って思うよ。彼らにとっては、ネット広告の現場なんて、どうでもいいから言えるんだろうね。

A 確かに(笑)。広告の受け皿になるポータルサイトの勢力図とか、たぶん興味もない。

B 広告の受け皿となるメディアのほうは、生き死にがはっきりしてきた。つまりヤフーとグーグルが勝ち組で、BIGLOBEやSo-net、ニフティなどのポータルは死に体っていうね。

C その死に体3社は、金もPVも生まなさすぎて、社内が毎日、葬式会場みたいな雰囲気らしい。700人の派遣切りとか、常にどこかが買収・合併されるって噂ばかりだよ。離職率も加速度的に上がっているし、技術のある奴はどんどん勢いのあるベンチャー企業などに転職しまくってるね。

A それでいえば、世の中的には中堅といわれてる我が社も哀しいなぁ。「お客様の期待を超える~」なんてコピーをホームページ上に打ち出してるんだけど、そもそもクライアントにすら効果を期待されてない。なぜか服飾系のセミナーとか主催してるんだけど、これがまた、まったく話題にならないんだよ(泣)。

B ネット広告はプレイヤーが多すぎて飽和状態だけど、総合も大変そうだね。

A 今さら上司に「アルファブロガーだ!」「ステルスマーケティングだ!」とか言われると「完全にオワコンなんですけど……」って言い返したくなる。ウチが消えるのもそう遠くないかも。

C 莫大なPVを稼ぐヤフトピがある限り、今後10年は安泰だと思われるヤフーの門戸を叩くのはどう?

A まず人気すぎて、入れない(笑)。

B 宮坂学社長が「ヤフー爆速36時間」を打ち出してから、社内の雰囲気がガラッと変わったらしい。CAのミスマッチ制度【註 :上司や人事、役員が社員を評価。下位5%をDとし、D2回で部署異動か退職勧奨】よりもエグくて、貴族、農民、奴隷みたいなカースト制度が出来上がりつつあるらしい。デキる社員は新人でもどんどん仕事を任され、部署間の引き抜きも毎日行われるんだって。売り上げ至上主義が加速し、毎月順位が貼られるっていうのはツラそう。グーグルに差をつけられたヤフーの危機感もわかるけど、僕ら同業の人間からすると、脅威すぎるよ。

C 生きる会社の中でも、 生きる人・死ぬ人 がいるわけだ。

イケイケで美女揃い!渋谷ではしゃぐCA

――なるほど。では、そんな中でも勢いがあるのはどこでしょう?

B ネット広告の業界で浮かれた話を聞くのはCAだね! まず、女子は顔採用っていう話もあるぐらい、ここの女の子は皆かわいい。

A 仕事で絡んだことがあるんだけど、CAの社員って自社の愚痴をいう人が誰もいないよね。

B 藤田晋社長イズムらしいです。藤田さんてヒラ社員からでもお声がかかれば、フツーに居酒屋での飲み会に顔を出す。数字を出す優秀な社員は、自宅で労をねぎらったりね。最終的に新入社員の採用を決めるのも彼なので、社員全員の名前を覚えてるとか。競合だけど、これは羨ましいかも。

――そういえば、渋谷の居酒屋で静かに夕飯を食べていたら、異常に騒いでる集団がいたんです。それで「社長が来るって!」という声が聞こえてきたんで、どんなやつかと思ったら藤田氏でした。

B 内定式なんかもとにかくド派手。社内結婚が多くて、穴兄弟も多いらしいね。

C 一方で、中途採用や技術系のまじめな社員は、まったくその恩恵を受けられない。そもそもCAのチャラい雰囲気に馴染めずに、1年以内に辞めていく人も多いよ。

B CAはいかにもベンチャーらしい社風だけど、ネット系代理店て旧態依然とした体育会系の社風の会社も結構ある。オプトもそのひとつだけど、新しい商材が発表されたら、ドブ板営業で一斉に「行ってこい!」みたいなこともしばしば。電通とは技術的なノウハウは共有できなかったけど、イズムは注入されてるのかも。

C ネット専業の会社って、ホントに会社の営業カラーが違うよね。例えばセプテーニは、「本当に利益が上がるの?」ってくらいの値下げがウリ。通常ネット系代理店のマージンって15%なのに、14.5%引きでコンペに参戦するとかもあるらしいよ。

B そんなパワー重視の営業と真逆にあるのが、業界屈指の理論派集団ともいえるアイレップでしょう。たまに飲むことがあるんだけど、例えばリスティング広告の戦略についてや、アルゴリズムについてなど根本的な仕組みから丁寧に説明するあたり、圧巻すぎ。競合だけど、アイレップはこれからもっと伸びていくと思う。

A あと、景気が上向いた電博は、再び飲み方も派手になってきた。この前、あるオフ会で博報堂の20代の営業に誘われて、麻布十番の秘密クラブみたいなところに行ったんだけど、彼は120年前のワインを躊躇することなく飲んでた。もちろんおごってもらったけどね!

C 博報堂は12年上半期、好調でしたからね。公家的と形容される同社の社風の中で、自動車、飲料系の担当は、電通バリに豪快な人が多いって話はよく聞きますよ。

B 総じて言えるのは、未来永劫、企業価値が約束されているところは羨ましいってことかな。ネット広告系でいえばCA以外は、上位6社以下の会社は総合や大手メディアに吸収されたりして、統廃合を繰り返していくって感じかなぁ。業界11位のフルスピードとか、最近コンペで当たらないな……。

C かつてリクルートのお抱えだったメンバーズも元気ないですね。

B 湿っぽい話はやめにしよう。明日は我が身なので(汗)。

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