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東野圭吾著『マスカレード・ホテル』(集英社)。

 ジャーナリスト・岩瀬達哉氏とミステリー作家・黒川博行氏の記事をめぐって、現在、文壇を巻き込んだ騒動が起こっている。そもそもの発端は、2010年末から今年10月まで掲載された岩瀬氏による「週刊現代」(講談社)の連載『グリコ森永事件の真実』だ。20年以上も前に起こった犯罪史上に残る未解決事件の真犯人を、新たな証拠と共に指摘したそのリポートは一部で大きな反響を呼んだ。だが連載終了後、記事を読み終えた黒川氏は「これは俺のことや!」「真犯人(連載では匿名)にデッチ上げられた」と、2度にわたって「週刊文春」(文藝春秋/10月27日号、11月3日号)に反論手記を綴ったのだ。

 事件と同時期の84年、黒川氏は銀行強盗と大阪府警を主人公にした小説『二度のお別れ』(創元推理文庫)を発表。だが、同作に描かれた脅迫状や身代金の受け渡しがグリコ森永事件と類似していたため、警察から事情聴取を受けた過去がある。

 それに加え、黒川氏による「週刊文春」の手記を読む限り、岩瀬氏が彼の過去と新たな証拠を示したこと、1回目の手記が発表された後、連載担当編集者、「週刊現代」の鈴木章一編集長、そして講談社の出樋一親局長が、大阪にある黒川氏の自宅を訪れ陳謝したとあることからも、同連載が黒川氏を真犯人だと見なしていたことは間違いないようだ。

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