サイゾーpremium  > 特集  > 批評家・荻上チキ氏に聞く「ネット住民たち...

 ネットでは、毎日どこかで火の手が上がっている──いま、ネット上でアツくなりやすいテーマ6本を分析。いつまでも"対岸の火事"とは思っていられない!?

「マスメディア」

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 大手メディアは"マスゴミ"と呼ばれ、一部のネット住民に嫌われている。特に、偏向報道やねつ造疑惑があると、炎上の可能性が上昇。07年に安倍晋三元首相が辞任した際、朝日新聞が「無責任に放り出すこと」を意味する「アベする」という語を流行語として紹介。しかし、「そんな言葉、はやってない!」と騒ぎになり、逆にネット住民が「事実をねつ造すること」を「アサヒる」と命名。「ネット流行語大賞」を受賞。


「政治」

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 政党では、外国人参政権などを推進する民主党が特に叩かれやすい。韓国語の響きに似せた「ミンス」という呼び名や、親中派である小沢一郎を揶揄する「小沢民(しょうたくみん)」というスラングも生まれた。また、同党の三宅雪子議員が国会で転倒した際は、そのわざとらしい転び方がネットで「自作自演」と叩かれ、検証動画もアップ。これを受け、三宅議員は一時ツイッターの利用を取りやめた。


「犯罪自慢」

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 万引きや未成年の飲酒、ホームレス襲撃など、当事者が「犯罪」と認識せずに書き綴ったものが2ちゃんねるなどで話題になり、ミクシィやブログのコメント欄が炎上するケースが多い。09年11月には、神戸の大学生がホームレスに生卵を投げつける動画をミクシィにアップし、非難の声が続出。個人情報をさらされた上、就職内定先に抗議の電話が殺到。のちに、友人との自作自演映像だと判明した。


「非常識」

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 非常識な行為を自慢げに語る人は「DQN」として笑いものにされがちだ。03年に起きた「JOY事件」では、居酒屋の店員に注意されたことを逆恨みして殴るなどの制裁を加え、これをブログで自慢した女性がネットで大いに叩かれた。また07年の「テラ豚丼事件」では、山盛りの豚丼を作った吉野家店員がその様子を動画でアップし、各地の吉野家には苦情の電話が殺到したという。


「差別」

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 差別にかかわる話題も、炎上しやすいテーマのひとつ。ジェンダーなどの男女差別、被差別部落、外国人差別、嫌韓・嫌中にまつわる問題などでは、これまで幾度となく炎上事件に発展してきた。09年、不法入国したカルデロン一家に在留特別許可を出すか否かをめぐる問題では、2ちゃんねるを中心に議論が沸騰。一家の支持者がブログを炎上させられるなどの騒動にまで発展した。


「芸能人」

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 ラジオで「羊水腐る」発言をした倖田來未や、テレビで過去の万引き行為を告白したあびる優などは、それが引き起こしたバッシングと炎上騒動が元で一時的な活動自粛に追い込まれた。09年には、島田紳助が番組でお笑いトリオ・東京03を恫喝した疑惑が浮上。日頃から「態度が傲慢」などの理由でネット住民から嫌われていただけに、恫喝の検証動画がアップされるなど紳助叩きが盛り上がった。



 今年2月に起きた「UCC上島珈琲」のツイッター炎上事件。ユーザーがつぶやいたキーワードに反応し、一方的にキャンペーンのPRメッセージを返信するという手法が「スパムのようだ」と批判を呼び、最終的にはUCCが謝罪文まで出すという大きな騒ぎになった。

 炎上という言葉が生まれて久しいが、ネット上では今なお"火の手"が絶えない。UCCの一件は舞台がツイッターということもあって注目されたが、2ちゃんねるやはてなブックマークなどを観察していると、上記にまとめたような話題が「炎上しやすいテーマ」として浮かび上がってくる。なぜこれらは騒ぎになりやすいのだろうか? 本誌連載陣で、『ウェブ炎上』(ちくま新書)の著者である批評家の荻上チキ氏に話を聞いた。

「まず簡単に『炎上』という現象を定義しますと、サイトやニュース、個人の書き込みなどに対し、否定的な言説が一定量を超えた状態、ということになります。そして、炎上しやすいか否かは、そのテーマにまつわる"炎上係数"にかかってくる。上記に挙げられている政治や犯罪自慢といった話題は、炎上係数がとても高く、それゆえ盛り上がりやすいというわけです」

 そして荻上氏は、この炎上係数が「『i(importance/重要さ)×i(interest/面白さ)×s(stigma/スティグマ)』の積によって求められるのでは」と語る。これは一体どういうものだろうか。

「これには、『デマ』の研究者であるオルポートとポストマンが提示した『R(Rumor/流言)=i(importance/重要さ)×a(ambiguity/曖昧さ)』という元ネタがあります。ウワサやデマは、それが情報の受け手にとって重要な内容で、なおかつ情報の詳細が不明瞭な場合に最も広がる、ということを表した式なのですが、炎上もこういった公式で説明できるのではないか。その話題が、多くの受け手の関心を引くものか否か。単純にネタとして面白いか否か。そして『スティグマ性』、つまり対象者に貼られるネガティブなレッテルが共有されているか否か。例えばヤンキーが非常識な行動を取ったり、韓国人が反日的な発言をしたとしましょう。こうした人は、ほかの人よりもスティグマ性が高く、『DQNだ!』『嫌韓だ!』と感情を躊躇なく発露できる。こうした諸条件を兼ね備えたケースは、そうではないケースに比べ、炎上係数が高いというわけです」

 冒頭に挙げたUCCのような企業の不祥事は、式に当てはめた場合の係数が低いゆえにすぐ沈静化することも多いが、一方で、人種問題やいわゆる"マスゴミ"叩きなどは、炎上が延々続くことが多い。社会的重要度が高いテーマほど長引く傾向にあるそうだ。

「炎上が起きる時にコメントを書き込む側は、『許すまじ!』といった一種の正当性を主張するだけでなく、『どこまで相手が不幸になるか』をショーとして消費するような感覚も得ています。他人の不幸を楽しみ続ける人がいる限り、炎上的な行為はなくならないでしょうね」

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