“リベラルジジイ”が 高市政権の独裁と 批判封じに抵抗宣言!

高市政権の総選挙圧勝に沸いた日本。SNSでは「リベラルの終焉」を嗤う声が溢れているが、その後の左派陣営の静寂は敗北の証しか、それとも反撃の予兆か── 。そんな中、ネット右派からの執拗な攻撃にも揺るがない気骨を持つジャーナリストの青木理氏と、伝説の反権力雑誌「噂の眞相」で副編集長を務めた川端幹人氏が緊急対談。暴走する高市政権と、それを追認するメディアの危うさを炙り出しつつ、危機回避へのロードマップを描く。

川端 今回は衆院選の結果を受けて、リベラルジジイ2人が嘆くのを嗤う企画らしいですよ。たしかにネットニュースやSNSでも、リベラルいじりが一大コンテンツになってるからね。リベラルは終わった、リベラルはイタい、これだから負けたんだ、と。高市首相の話題より盛り上がってる(笑)

(写真/石田寛)

青木 SNSをほとんど見ないからわからないけど、勝ち馬に乗ってはしゃいでるだけじゃないの?

川端 でも、この空気に押されてリベラルも結構反省しちゃってるでしょ。中道改革連合の議員やリベラル知識人が「やり方がまずかった」「内向きだった」とか言い出して。青木さんはどうなの?

青木 うーん、反省したいならどうぞご自由に、というしかないよね。そもそも僕はリベラルなのかね。

川端 ネット的には、イタいリベラルの典型でしょう(笑)。 

青木 そうなの?(笑)まあ権力を監視するのが仕事だから「反権力」ではあるけど、職業人としての僕は右でも左でもなくあくまでも〝中道〟ですよ。

川端 中道(笑)。じゃあ、青木さんにはもっと反省してもらわないとダメだ。今回の選挙結果は立憲民主党が選挙目当てで左翼を切り捨て、公明党と組んだのが最大の原因なんだから。

青木 真面目な話、立憲の原点である安保法制や原発をめぐる姿勢を突如転換したのに失望した層はいたでしょうね。ただ、野党が少しでも大きな塊をつくって戦おうとしたのは基本的に間違っていないと思う。政治記者でもない僕が賢しげに言うのは憚られるけど、小選挙区を中心とする現行の選挙制度では大きな塊をつくらないと勝てない。だいたい「選挙目当て」というなら、高市首相の手前勝手な7条解散自体が大義も正義もない選挙目当てじゃない。

高市政権は316議席獲得の「歴史的大勝」。(写真/Getty Images)

川端 それはそうだね。物価高対策を放り投げ、前の解散から1年半足らずでの強行。安倍晋三首相時代の国難突破解散より酷い。

青木 だから、リベラルは反省もいいけど、まずは首相の放埒な解散権の濫用を徹底して批判しなくちゃいけない。憲法に一文字も書いてない「解散権」を行政権力のトップが好き放題に行使し、自らが好都合だと思うタイミングで立法府の首をすげかえたら、ある意味でこうなるのは必然ですよ。

川端 でも、それを言うと、負け惜しみ言うな、と叩かれるんだよな。

青木 解散権の問題は決して負け惜しみじゃなく、言い続けるべきですよ。右とか左とかの問題ではなく、こんな濫用を許し続ければ「国権の最高機関」たる国会=立法府による行政権力監視の機能が弱体化し、三権分立さえ危うくなってしまう。さらに言うと、高市自民が獲得議席ほど圧倒的に支持されたのか、という問題も忘れちゃいけない。投票率自体56%で戦後5番目の低さだったうえ、小選挙区で見ると自民党の得票率は49%。つまり、有権者全体では27%しか票を投じていないのに議席占有率は86%なわけでしょ。だから高市ブームっていうけど、そんなたいしたものじゃない。少し前の〝石丸現象〟とか直近の新興政党ブームと変わらない。初の女性首相で非世襲という一見〝清新なイメージ〟が引き起こした〝プチブーム〟じゃないかな。

川端 僕は青木さんほど楽観的になれないけど、実体を知らないまま、高市首相を支持している人が多いのはそうだろうね。街頭インタビューなどでも、高市首相が極右思想の持ち主で夫婦別姓、同性婚に反対してきたことや生活保護バッシングの急先鋒だったことも知らない人がいたし。

青木 実際の政策と関係なく支持する傾向はメディア環境の激変でさらにエスカレートしている。選挙ドットコムがYouTubeの政党関連動画のネガポジ分析をしていたけど、自民党は肯定的な動画が8割で否定的なのは1割。中道では否定的が9割以上に上っていた。これって、ほとんどの人が高市アゲ、中道サゲのフィルターバブルの中にいたということでしょ。

川端 若い人に聞くと、選挙期間中に「週刊文春」がスクープした高市首相の裏帳簿問題や、例の「円安ホクホク」発言自体を知らない人が圧倒的だった。

青木 僕はSNSやネット事情も詳しくはないけど、自民党のSNS戦略は侮れない面があるよね。例の高市動画が1・6億という再生回数を叩き出し、一説には億単位の金を投下していたともいわれている。もうひとつはレイジベイティング。俗にいう〝切り抜き職人〟っていうのは金を稼ぐのが目的で、右左関係なく〝回る動画〟を拡散させるから、高市アゲ、中道サゲがウケるとなると、そういう動画ばかりが広がっていく。そうやってどんどんブーストがかかっていったという構図でしょ。

質問したら「スパイ」扱いまるで“戦時”の空気

川端 ただね、リベラルの惨状はいまの話では説明しきれない部分もある。中道だけじゃなく、共産党もれいわ新選組も大幅に議席を減らしているし、SNSにしても下地があって、解散前から高市支持や立憲・リベラル叩きが広がっていた。僕はやはり「存立危機事態」発言が大きいと思うね。あれで嫌中ナショナリズムが煽られ、高市人気とリベラル忌避が加速した。

青木 憂鬱だけど、その側面はたしかにある。高市首相の国会発言を引き出した中道の岡田克也氏に先日、雑誌「世界」の企画でインタビューしたら、自らの落選はあの国会質問の影響も大きかったと漏らしていた。SNSなどには「岡田が党利党略で失言を引き出した」といった批判が渦巻き、「中国のスパイ」とか「イオンの中国進出のため」といったデマ攻撃まで溢れた。

川端 「質問した岡田が悪い」というのは、読売新聞はじめオールドメディアもやっていたけど、スリカエもいいところだ。議事録を読めば明らかだけど、岡田氏の質問は、高市首相が自民党総裁選で台湾の海上封鎖が存立危機事態になると発言したことを批判するもので、当然の質問ですよ。

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