高市自民党、歴史的勝利の理由とは?

――ビデオジャーナリストと社会学者が紡ぐ、ネットの新境地

[今月のゲスト]

高安健将(たかやす・けんすけ)
[早稲田大学教育・総合科学学術院教授]

1971年、東京都生まれ。94年、早稲田大学政治経済学部卒業。2003年、ロンドン大学ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで博士号取得。専門は比較政治学、政治過程論。北海道大学法学部講師、成蹊大学教授などを経て23年より現職。著書に『議院内閣制』(中公新書)など。

2月8日の衆院選で自民党は比例名簿が不足するほどの歴史的圧勝を達成した。一方、選挙直前に結成された中道改革連合は大敗。比較政治学の専門家は、解散から投票までの短期決戦や巨額のネット広告費、首相が有利な時期に解散できる制度構造を自民勝利の要因と指摘。さらに野党側の準備不足や若年層への訴求力の弱さも敗因として挙げている――。

当選者に花つける高市早苗首相。(写真/Kim Kyung-Hoon/Pool/Reuters/Anadolu via Getty Images)

神保 2月8日に投開票された衆議院選挙では、自民党が単独で316議席を獲得し、戦後初となる「単独3分の2超」という歴史的勝利を収めました。宮台さんは今回の選挙結果をどのように受け止めていますか。

宮台 いつも通り大歓迎です。自民党がほとんどフリーハンドになった状態で、やりたいようにやらせれば沈没する。できるだけ過激にやってほしいと思います。

神保 どうせ悪くなるのなら早いほうがいいという加速主義的な立場ですね。さて、今回はゲストに早稲田大学教育・総合科学学術院教授の高安健将さんをお招きして、今回の選挙結果を多角的に見ていこうと思います。

高安さんは今回の選挙結果をどうご覧になりますか。

高安 総選挙は民意を確認して一定期間政権を預けるための機会であり、有権者がきちんとそれまでの業績を見て判断する時間が必要です。しかし今回は、非常によく練られた高市早苗さんのスピーチと、中道改革連合の野田佳彦・斉藤鉄夫両共同代表(共に辞任)の掘っ立て小屋のようなスピーチを比較するとよくわかるように、チャンピオン側の準備が整ったところでいきなり試合をするようなものだった。こういう解散の仕方については、有権者から選択肢を奪うし、考える時間も判断する時間も奪うのですから、怒ったほうがいい。

一方で、野党第一党にも問題があります。彼らは解散の話が出てから終わるまで、ずっと恨み節だった。新しい政党で候補者もおらず、準備ができていない中で苦しいのはわかりますが、せめて「待ってました!」という顔くらいすべきでした。政策的・組織的な準備をせずにここに至ったことが問題であり、与党の問題と野党の問題がセットで、今回の歴史的な数字が出てきたのだと思います。

神保 問題は、今回の選挙の勝利が、必ずしも高市政権の政策が評価されたことが原因ではなかったのに、結果的に高市総理が掲げる政策が国民の信任を得たことになってしまっていることです。

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