【羊文学】“90年代風”をはねのける若きオルタナティブ・ロック・バンドの轟音

――今、大ブレイク間近と目されているのが、このバンドである。柔和な印象の3人が奏でる轟音は、かつてのシューゲイザーを思い起こさせもするが、その背景や潜在能力とは――。

(写真/草野庸子)

 いい感じに力の抜けた姿とは裏腹に、繊細さと獰猛さを併せ持つサウンドで存在感を放つスリーピース・バンド、羊文学。2012年の結成時は5人組だったが、作詞・作曲を担当するボーカル&ギターの塩塚モエカ(写真右)を除くオリジナル・メンバーは進学などで脱退し、現在の編成となった。

「ツイッターをやっていなかったら、たぶん、会うこともなかった」。そう話すドラムのフクダヒロア(左)は、リーガルリリーのサポート・ドラマーだった頃、塩塚からツイッターのDMで声をかけられた。また、ベースの河西ゆりか(中央)はツイッターでのメンバー公募を経て加入したという。

 初EP『トンネルを抜けたら』(17年)をリリースした頃のライブは100人を集客できるかという状態だったが、やがて楽曲やライブが評判となり、EP『きらめき』(19年)の東名阪リリース・ツアーはすべて完売。フェニックスやサッカー・マミーなど海外の人気アーティストが来日した際には、対バン相手を務め上げた。

 そんな羊文学は、音楽/カルチャー系メディアから90年代のオルタナティブ・ロックの影響を指摘される。なるほど曲によっては、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのようなシューゲイザーや、ペイヴメントに代表されるローファイの雰囲気を感じられなくもない。

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