中国開発区の「リワイルディング」

《普和箐鉱山エコロジー・リカバー・プロジェクト、大理、中国》 2017年 @Yan Wang Preston, from Forest project.

「リワイルディング(=再野生化)」という言葉がある。人間が開発した土地を再び自然の状態に戻し、生態系を回復させる取り組みのことだ。この言葉は、干拓事業の失敗により放置された場所を自然保護区にしたオランダの試みが『あたらしい野生の地―リワイルディング』(2013年)という題名でドキュメンタリー映画化されたことにより、広く知られるようになった。

 中国系イギリス人写真家のヤン・ワン・プレストンの連作「フォレスト」は、この「リワイルディング」をテーマに制作されている。被写体は、1990年代から急速な都市化・工業化の波にさらされた重慶市の市街地や雲南省の大理市における開発区である。重慶市では、2000年代から植樹を積極的に行い、工業都市化と緑化との両立を図ってきた。また、大理古城や洱海などを有する大理市は、その風光明媚な風景から国内外より多くの観光客を集めてきた古都であるが、洱海の東側に位置する海東地区では、12年から大規模な開発が進められ、高層マンションが立ち並んでいる。

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